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知財AIの最前線

ダイキン工業の知財AI活用──“防衛型”から“戦略型”へと変貌する、伴走型の知財組織とは

LexisNexis PatentSight+ Summit 2026 レポート Vol.2:ダイキン工業株式会社 安部剛夫氏

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 知的財産(知財)活動の役割が、従来の「権利取得を通じて事業を守る」という防衛的なフェーズから、「事業成長を直接支え、牽引する」という戦略的なフェーズへと大きくシフトしている。2026年5月28日にレクシスネクシス・ジャパン社が主催した知財戦略カンファレンス「LexisNexis PatentSight+ Summit 2026」において、ダイキン工業株式会社の知的財産部長である安部剛夫氏が登壇。同社が実践する、AI活用を通じた「知財インテリジェンス」の最前線と、それを支える組織・人財変革のリアルな道のりが明かされた。創業100年を超え、連結売上高5兆円を突破した同社のグローバル競争力を支える、人間とAIが高度に協働する知財戦略の実態に迫る。

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10年前に突きつけられた「社内からの問い」と類似特許検索の誕生背景

 ダイキン工業の伴走型知財組織の原点は、約10年前、2015年に設立された総合研究開発拠点「テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)」の発足時にまで遡る。当時、社内から「各技術開発における特許出願のKPI(重要業績評価指標)を構築したい」という強い要望が突きつけられていた。

 しかし、同社のコア事業である空調分野と化学分野において、精緻なKPIを測定することは容易ではなかった。一見すると他の技術と明確にセパレートしているように見えるが、たとえば家庭用・業務用のエアコン技術と、冷凍冷蔵庫などの冷凍機技術は極めて類似している。単純なキーワード検索や特許分類(FI/F-termなど)による検索式では、膨大な類似技術がノイズとして混入してしまい、その都度、手作業による膨大な分類作業が発生していたのである。

 自分たちの出願を種(シード)にして、類似の技術を自動的に集めてくれる仕組みがあれば、非常に助かる。この切実な現場の課題を解決するため、同社は特許分析プラットフォームを提供するPatentSight(パテントサイト)社に類似特許検索技術の共同開発を打診した。現場の実務家としての細かなニーズを真摯にぶつけ、試行錯誤を繰り返すことで、現在パテントサイトに標準搭載されている高度な類似特許検索機能が形作られたのだ。

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ダイキン工業株式会社 知的財産部長 安部剛夫氏

外部指標と社内評価の強い相関が判明した

 こうして客観的なデータ分析基盤を整えた同社だが、客観的な知財分析スコアが本当に企業の競争力や技術力を正しく反映しているのか、という点については常に検証を怠らなかった。

 その成果として安部氏が示したのが、同社が3年連続で受賞した「Innovation Momentum: Global Top 100」(世界で最もイノベーティブな企業100社)のデータ分析である。パテントサイトの指標を用いて、ダイキンの空調・化学分野それぞれの特許ポートフォリオから、評価の高い特許を抽出。これらを、ダイキンが独自に実施している出願時の「社内評価(社内表彰など)」の結果と突き合わせるという検証を行った。その結果、パテントサイトの指標と社内評価に強い相関があることが判明したのである。

 「客観的な外部スコアと、我々の社内評価の間に強い相関が出たことで、社内の評価基準の妥当性が証明されました。と同時に、パテントサイトの提示するスコアが、自社の知財戦略や競争力を見極める上で極めて信憑性の高い、活用可能性のある指標であるという確信を得ることができました」と安部氏は安堵の表情を交えながら、データ裏付けの重要性を強調した。

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サイロ型から「伴走型」へ──知財組織の変革の実践

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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