100年に一度の変革期を勝ち抜く「両利きの経営」と人財の「質」への転換
最初のレポートは、AstemoのシニアヴァイスプレジデントCHROで人財統括本部長の山口敬氏が登壇したセッション「『Mobility Beyond』を加速させる人財戦略基盤:HRDXを通じたグローバル経営変革ジャーニー」だ。
同社は2021年1月1日、日立製作所と本田技研工業の子会社4社が経営統合して誕生した(※2025年4月に日立Astemo株式会社から「Astemo株式会社」へ商号変更)。売上高約2.2兆円、国内外134拠点を擁し、グローバル従業員数は約8万名に及ぶ。
山口氏はまず、自動車業界がハードウェア製造からソフト統合による価値創出を図る「モビリティソリューションプロバイダー」へ転換を迫られている現状を指摘。これに伴い、人財獲得も「量の確保」から「質の獲得」へシフトしている。
「SDVや電動化(xEV)領域の専門人財確保に加え、既存人財のスキル転換(リスキリング)と生産性向上も不可欠です。人財マネジメントは一律管理から、個人の自律的キャリアを促す『双方向信頼型』へ変革する必要があります」(山口氏)
この変革を支える鍵が、既存の「基盤事業」の深化とCASE/SDVなどの「成長事業」の探索を同時に進める「両利きの経営」だ。

| 戦略の柱 | 具体的なアプローチ |
|---|---|
| リソース確保 | 成長領域のグローバル開発体制確立(M&A、戦略的協業、オフショア、リスキル・再配置など) |
| カルチャー変革 | 基盤(ローカル最適・安定追求)と成長(グローバル最適・挑戦)の共生、MVVに基づく文化浸透 |
| 基盤整備 | 安全衛生の強化およびHRX(HRトランスフォーメーション)の推進 |
同社はグローバル従業員約8万名のうち約7割が海外で活躍し、外国籍の執行役員比率も36%に上る(※2026年4月時点)。
この多国籍組織で迅速な経営を行うため、同社は従来の「OPM1.0」から、2024年度より「OPM2.0」へ移行した。事業部が中長期の計画・戦略を担い、地域運営本部が短期の業績やSQDC(安全・品質・納期・コスト)を管掌する分権連携体制を構築している。これに伴い、「HR部門5ヵ年計画」を起点とした2026年度重点施策(人的資本経営強化、高度専門人財確保、カルチャー醸成など8項目)を展開している。
