SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

会見ダイジェスト

長寿企業のDNAは「変わり続けること」──DNPの調査から見る、100年企業の生存戦略

  • Facebook
  • X

 VUCAの時代において、多くの企業が変革の壁にぶつかっている。そんな中、2025年には倒産件数が12年ぶりに1万件を超えた。企業の「存続力」が問われる中、2026年に創業150周年を迎える大日本印刷(DNP)は、7月28日に「長寿企業に関する経営意識調査」の記者発表会を開催した。登壇した同社 広報室 室長の中村里香氏は、100年以上続く長寿企業の経営実態から見えてきた「持続的成長のヒント」を解説した。

  • Facebook
  • X

老舗=保守的は誤解。理念を軸に変わり続ける長寿企業 

 今回の調査結果で特筆すべきは、「長寿企業=老舗のブランドにあぐらをかく保守的な存在」というイメージが覆された点だ。ハーバード・ビジネス・スクールのジェフリー・ジョーンズ教授も、本調査結果を見て「日本企業は総じて保守的だという見方に一石を投じる」と驚きのコメントを寄せている。事実、100年以上事業を継続できた理由のトップは、「ブランド力」や「安定した顧客基盤」を抑え、「時代や環境変化に合わせた事業内容・構成の見直し」(46.6%)であった。

企業が100年続いた理由
クリックすると拡大します

 長寿企業は、人材の要件やターゲット市場、販売方法など、事業を進めるための要素は柔軟に変える一方で、社是や経営理念は決して変えずに軸としている。さらに直近5年間で成長軌道にある企業ほど、この不変の理念が単なるお飾りではなく、日々の業務や意思決定に深く結びついていることが判明した。中村氏は、長寿の要因とは「理念という軸を守りながら変わり続けること」であると強調し、変化への対応力こそが持続性の源泉であることを示唆した。

「変化させたもの」と「変化させなかったもの」
クリックすると拡大します

競争力の源泉は顧客との信頼。ニーズを起点に価値を創出

 では、長寿企業が変化し続けるための競争力の源泉はどこにあるのだろうか。自社の強みについて尋ねた結果、「強固な顧客基盤・顧客との信頼関係」(66.5%)がダントツの1位となり、技術力や営業力を大きく引き離した。さらに、約8割の企業が創業時の強みをそのまま維持するだけでなく、時代に合わせて発展させながら、現在も経営の基盤として活かしていることが明らかになった。

長寿を支える“強み”
クリックすると拡大します

 中村氏が特に注目したのが、イノベーションを生み出す原動力である。最も多かった回答は技術そのものや技術者のひらめきではなく、「顧客ニーズ・顧客課題」(42.5%)であった。さらに、業績が成長軌道にある企業ほど、顧客を単なる販売先としてではなく、新しい価値を共創するパートナーとして重視していることもわかった。長寿企業は顧客との長期的な信頼関係を築き、対話を通じて社会の課題をいち早く捉えることで、事業領域を広げ続けているのだ。

イノベーションの原動力
クリックすると拡大します

次のページ
小さな試行と失敗から学ぶ。成長企業に共通する組織風土

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
会見ダイジェスト連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X

Special Contents

PR

Job Board

PR

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング