経営・投資・参謀の行き来がもたらす「リアル変革参謀」という独自視点
Biz/Zine編集部・栗原茂(以下、栗原):お二人の著書『変革参謀 当事者が語る「リアル」』は、ミドル層以上のビジネスパーソンにとって刺激的です。今回は「人材・組織」「カルチャー」に焦点を当て、企業変革の極意を伺います。まずは、お二人のキャリアについてお聞かせください。
田村誠一氏(以下、田村):私は約35年のキャリアのうち25年間、経営戦略コンサルタントとして「外部の参謀」を務めてきました。ローランド・ベルガーは8年目になります。
一方で、40代の約10年間は異なる立場で変革に関わりました。前半は官民ファンドの「企業再生支援機構」で3社の取締役としてハンズオンで再生を主導。後半は事業会社(JVCケンウッド 代表取締役 兼 副社長、日本電産 専務、北米法人社長など)で、当事者として中計策定やM&A、PMIを実行しました。「外部の参謀」「投資家」「内部の経営当事者」の3つの視点を持って、再び外部から変革に従事しています。
東大経済学部卒、ノースウェスタン大学ケロッグ修了。外資系戦略ファームを経て、企業再生支援機構 MDとしてハンズオン再生を主導。JVCケンウッド 代表取締役 兼 副社長、日本電産 専務など経営トップを歴任後、現職。
野本周作氏(以下、野本):私は25年のキャリアのうち、最初の10年間は旧・松下電工の経営企画におり、松下電工での後半5年間は社長のスピーチライターとして社内参謀を務めました。その後、サービス・小売・外食産業の「プロ経営者」を目指してローランド・ベルガーに在籍。その後10年間で3社の経営に関わり、2018年からの5年間は上場外食企業であるエー・ピーホールディングスのCOO・CEOとしてコロナ禍の舵取りを行いました。
退職後、ローランド・ベルガーへ戻り2年間、様々なクライアントの変革に携わりました。この4月からは、自動車部品メーカーのソミックマネージメントホールディングス(以下、ソミックMHD)に転じ、現在は取締役グループCSO兼グループCFOを担っています。現在は同社で「リアル変革参謀」としてハンズオンの変革に挑みつつ、ローランド・ベルガーで非常勤変革アドバイザーも務めています。
慶大理工学部卒、グロービス経営大学院修了(MBA)。松下電工、ローランド・ベルガーを経て、上場外食企業のCOO・CEOを歴任。現在は老舗自動車部品グループの「リアル変革参謀」として変革を牽引。
日本の企業変革を阻む「変われないジレンマ」
栗原:経営経験者が複数在籍し連携している点自体がユニークですね。刊行後の反響はいかがですか。
田村:想像以上に反響をいただき、ありがたいことに重版も発行されたところです。主な評価は、読者のスタンスで二分されています。「格好良い最新フレームワークを学びたい」というインプット目的の人には響かないかもしれません。奇をてらったコンセプトは載せていないからです。
一方で、現場で業績や組織の停滞に苦悩する経営層やミドルリーダーには非常に好評です。「まさに今取り組んでいることだ」「他の役員にも読ませた」という切実な声を数多く頂戴しています。
野本:本書は、職種や組織規模に関わらず、覚悟を持って企業を変革しようという強い想いを持つ方にこそ刺さる本です。田村がいた大企業のJVCケンウッド、私がいた年商300億円規模のエー・ピーホールディングス、現在のソミックSMDは地方の老舗ファミリービジネスですが、読んでくれた会社の人たちも「僕らがやろうとしてきた変革がまさにここに書いてある」と言ってくれています。組織を変えたい局面において、広く共通する普遍的なテーマなのだと実感しています。
