リモートワークで“失敗する会社”は「チームワークの課題」を抱えている
全社員がリモートワークという体制をとるソニックガーデン。2020年5月時点で40数名の社員は19都道府県に分散しており、ときには旅をしながら働く人もいる。
間接業務の自動化と各社員への徹底的な権限委譲により、間接部門を置かず、役員以外は全員プログラマという「管理しない経営」を実現している点でもユニークな会社だ。
プログラマばかりの会社というと、各々がPCを使ってひとりで完結する仕事をしているからリモートワークが可能なのだと思われるかもしれない。
しかし、ソニックガーデンが目指しているのは、チームワークをリモートで行うことだ。
同じリモートワークでも個人としてやるのかチームでやるのかでは大きく異なり、企業がリモートワークで失敗するのは、チームで働くための課題に対応できていないためであることが多いと、倉貫氏は指摘する。
「全社員リモートになって感じたのは『ちょっといいですか?』というやつができないんですね。会議は、時間を決めてやればいいんです。でも、『5分話せば解決すること』が仕事中にはある。5分でいいのに『ちょっと時間ください』と言ったら、『来週の火曜日13時から』と言われたりするんですよ。『チャットでやればいい』と思われるかもしれないけれど、5分話せばいいことを文章にする時間があるんだったら喋りたい。オフィスだったらできたのに、と思うんです」(倉貫氏)
さらに、以下のように続けて見解を示した。
「廊下ですれ違ったときに雑談する、というようなこともオフィスだったからできたんです。そして、『会社に行く』ことで何より良かったのは、周りで人が働いている感じですよね。『自分もちゃんと働かなきゃ』という気持ちになる。リモートだと『みんな働いているのかな?』とひとりで不安になることがありました」(倉貫氏)
チームで働くのに不可欠なコミュニケーションの多くが、オフィスがあるから成り立っていたわけだ。