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新規事業開発を実践してきた人たちが語る、事業創造のための「アンラーニング」とは?

 COVID-19によって世の中の変化は劇的に加速しており、その変化に対応するためにも「アンラーニング」が注目されている。また、新規事業開発の現場では、既存事業の常識を捨てて新たな価値観や知識を身につける必要があり、どのようにすればアンラーニングできるかが求められている。
 5月15日には、「POST COVID-19のための事業創造のアンラーニング思考」というオンラインイベントが開催され、株式会社ビットキー エヴァンジェリストの畠山和也氏と、株式会社博報堂 ディレクターの星出 祐輔氏が登壇。新規事業のためのアンラーニングについて議論した。モデレーターは株式会社ゼロワンブースター 代表取締役の鈴木 規文氏が務めた。

[公開日]

[講演者] 畠山 和也 星出 祐輔 鈴木 規文 [著] 比惠島 由理子 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

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“強い事業”に集中してきた大企業が脱却できない“当たり前”

鈴木規文氏(株式会社ゼロワンブースター 代表取締役、以下敬称略):「新規事業開発におけるアンラーニング」の議論に入る前に、なぜアンラーニングが必要かという背景をご紹介します。様々な企業で新規事業開発に携わってこられて、苦労した場面も数多く経験されてきたという畠山さんに、新規事業がうまくいかない理由をご説明いただきましょう。

畠山和也氏(株式会社ビットキー エヴァンジェリスト、以下敬称略):「新規事業のやり方がわからない」とよく耳にすると思いますが、新規事業開発のプロセスは様々な書籍で“教科書的”に紹介されており、“公式”を知っている人がほとんどです。しかし、いざ実際に大企業内で新規事業に挑戦しようとすると、プロセス通りには進められずとん挫してしまっています。

 その背景には、1990年代からの「失われた20年」に、リストラをして“強い事業”に集中する方法で成果をあげてきた会社がほとんどだったということがあります。“強い事業”に集中するということで、新規事業の立ち上げを経験する人がほとんど出てきません。それが、大企業の新規事業開発において非常に大きな課題だと思っています。人口の激減と高齢化率の上昇という社会の変化が見えており、企業は生き残るために新規事業をやらなければならないのですが、現場から意思決定を担う上層部まで新規事業の立ち上げを経験したことがない人ばかりのため、既存事業の感覚で新規事業に挑戦して失敗してしまう、というのが現状だと思います。

 「既存事業と新規事業は違うもの」という認識を持つべきです。たとえば、大企業の既存事業は勝ちパターンが決まっているため、ミスは減点評価となります。一方で、新規事業開発ではうまくいかないことは山ほどあるので、既存事業と同じように失敗を減点対象としていては進むことができません。また、既存事業と違う事業形態をとるのであれば、お金の使い方も違って当然です。コンサルや制作などの変動経費が多い事業であれば成長に従って投資をしていくべきですが、プラットフォームやマーケットプレイスなどの固定経費が大きい事業では思い切った投資が必要です。既存事業と同じ感覚でお金を使おうとすると失敗する可能性が高くなってしまいます。

鈴木:新規事業開発を進めるためには、既存事業の“当たり前”を忘れる必要がありますよね。会社員として当たり前だと思っていることなのでなかなか忘れられないとは思いますが、一度これまでの常識を捨て、その上で、新規事業で正しいことは何かを考えることが大切です。それが新規事業開発で求められる“アンラーニング”ということですね。

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