地震や台風、豪雨などの自然災害や、新型コロナウイルスをはじめとした感染症などのリスクに直面するなか、企業には事業資産への影響を最小限にとどめ、事業の継続や早期の復旧が求められている。そのため、さまざまなリスクに対する企業活動への影響を想定し、発生後の対応措置などを事前に準備しておくことは、事業の継続のみならず企業価値の維持・向上の観点からも重要となっている。そのような観点から本調査は実施されたという。
【調査結果(要旨)】
事業継続計画(BCP)の策定状況において、「策定している」と回答した企業は16.6%(前年度比1.6ポイント増)となった。「現在、策定中」(9.7%)、「策定を検討している」(26.6%)もそれぞれ増加し調査開始以降で最も高くなり、BCPの策定に対する意識は高まっている。一方で、大企業は30.8%、中小企業は13.6%となり企業規模で大きく差が表れている。
BCP策定の効果について、既に策定している企業では「従業員のリスクに対する意識が向上した」が57.4%でトップとなり、「事業の優先順位が明確になった」(37.7%)、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」(35.5%)が続いた。また、BCPの策定が株主からの信頼獲得や国からの補助金の加点材料につながったという意見もみられた。
BCPを策定していない理由は、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」(41.9%)がトップ。「策定する人材を確保できない」(28.7%)、「書類作りでおわってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」(28.6%)など、前年と同様の理由が上位となった。特に中小企業からは、BCPの必要性を感じながらも策定に難しさを感じているという声が多くあがっている。
今回の新型コロナウイルスにともない企業活動が大幅に制約されたことによる危機感を契機として、今後は企業をはじめとしたさまざまな組織においてBCPの策定が従来以上に進むものと見込まれる。