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行動経済学をビジネス実務に落とし込む

なぜ行動経済学はビジネスの実務で活かしきれないのか──マーケティングを補完する学問の“3つの課題”

第1回

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行動経済学がマーケティングを補完する

 では、「論理だけでは説明がつかない非合理的な理由」に基づく行動とは、どのようなものでしょうか。たとえば、以下のようなものです。

  • 同調したい気持ち
  • 見栄や虚栄心
  • 単なるサービスの置き場所
  • 一瞬の印象
  • 世間的な評判
  • 難しい選択を避けた判断
  • 飢餓感や射幸心
  • 感情の起伏
  • 抜け切れない習慣
  • 誰かが決めたルール

 これらはほんの一部ですが、このような「非論理的」な理由で行動を決めてしまうことが多いのは、皆さんの生活者としての実感からも明らかでしょう。学問としてのマーケティングで身につけた“理屈の正しさ”だけを前提とすると、実効性のあるマーケティング戦略は打ち出すことはできません。現実的には、人間らしい「非合理的、非論理的」な心理が働いてしまうことを前提としなければいけないのです。むしろ人間らしさを逆手にとって企図することが必要ともいえます。そんな、コトラーのマーケティングの隙間を埋めるアプローチこそが、行動経済学なのです。

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この記事の著者

楠本 和矢(クスモト カズヤ)

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