経営管理から始まったキャリア、CFOを目指した理由
大塚寿昭氏(バリューアップパートナー株式会社代表取締役、以下敬称略):石橋さんは日本と米国のインテルで事業部コントローラーとCFOを勤められたという華々しい経歴をお持ちですが、キャリアのスタートはどういった部門からだったのでしょうか。
石橋善一郎氏(日本CFO協会 主任研究委員兼FP&Aプロジェクトリーダー、以下敬称略):私のキャリアは新卒で富士通の海外事業本部で経営管理を担当するところからスタートしました。1980年代始めは、まだ日本にCFOというポジションはありませんでした。当時はCFOを目指すという意識はなく、海外市場で果敢に勝負を仕掛ける日本メーカーを経営管理の側面からサポートすることにやりがいを感じていました。しかし、このままここにいれば、この先のキャリアとして見えているのは海外子会社での駐在の繰り返し。経理部、財務部におけるキャリアパスからは外れていました。そこでMBAを取ることを目指して、富士通を退社して自費でスタンフォード大学大学院のMBA課程に留学しました。
MBA取得後は、当時のMBAホルダーにならい、経営管理の経験を活かす先として私も経営コンサルタントとして就職することになりました。しかし、すぐに経営コンサルタントは自分のやりたい仕事ではないことに気付きました。
大塚:そこでキャリアを見直されるわけですね。その際に重視したポイントは何だったのですか。
石橋:キャリアを考える際に大事にしたい観点は3つありました。「その仕事が好きか」「その仕事に適性はあるか」「その仕事からの経験と自己学習を積み重ねることによって、長期間にわたってプロフェッションとしての成長を継続できるか」です。特に3つ目が重要だと思っています。自分が学び続けることでどこに向かって成長したいのか。そう考えた時に、CFOというキャリアがあるということを知り、挑戦してみようと決めて外資系企業への転職を決意し、入社したのがインテル日本法人です。