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経営参謀としてのCFO

創業時から一貫して変わらないデュポンの「コア・バリュー」──変革を常とする経営の根底にあるものとは?

ゲスト:東京都立大学大学院 特任教授、デュポン株式会社 前取締役副社長 橋本勝則氏【後編】

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 デュポンの取締役副社長を務め、昨年共著で『ワールドクラスの経営 日本企業が本気でグローバル経営に挑むための基本の書』(ダイヤモンド社)を著した橋本勝則氏との対談。前編では、デュポンが200年以上続いてきた理由として、変化への志向が挙げられた。後編では、日本企業が学ぶべき点とデュポンの経営の最も根幹にあるコア・バリューの力について語られた。

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日本企業が学ぶべきコーポレートガバナンスとキャッシュのリソース・アロケーション

石橋善一郎氏(日本CFO協会 主任研究委員兼FP&Aプロジェクトリーダー、以下敬称略):前編では、デュポンが大胆な事業トランスフォーメーションを行ったプロセスをお話しいただきました。日本の場合、歴史ある事業を手放すという決断はなかなか難しい雰囲気もありますよね。「あの役員がいるうちは、この事業を止めるわけにはいかない」とか。

橋本勝則氏(東京都立大学大学院 特任教授、デュポン株式会社 前取締役副社長、以下敬称略):それでは説明責任が果たせませんよね。これは日本企業のガバナンスの問題でもあります。欧米の企業の場合、大きな事業を切り離しなどの意思決定は取締役会で議決することになります。「こういう理由でこの事業を切り離す」と数字で説明をして合意しますし、日本のように、監督機能である「取締役会」が経営の執行メンバーとが重なっていないので、「これは誰々さんが始めたビジネスだから売却できない」という話にはそもそもなりません。

 先ほどお話ししたとおりデュポンはナイロン事業を売却しましたが、その当時の保守本流の事業でしたし、当時のCEOの出身事業でもありました。それでも、デュポンがやり続けるのがいいのかを熟考したうえで、ベストオーナーは別にいるはずだからそっちでやった方がいい、ということになったのです。

 日本では、2021年春ごろに予定されていれるコーポレートガバナンス・コードの改定で、社外取締役を取締役会の3分の1以上とするよう求める、といった内容が金融庁と東証(東京証券取引所)の有識者会議で議論されました。取締役が執行も兼務しているという現在の日本企業の取締役会は、非常に失礼な表現になってしまいますが、“泥棒と警察の一人二役”みたいなもので、いわば自己決裁です。執行は、監督役である取締役に対して説明責任を果たすべきです。また、社外取締役という表現は大いに違和感があり、言うとすれば執行と兼務する社内取締役の人数を制限するべきです。その上での本当のボードメンバーとして、執行側の方向性や思いを汲み取ったうえで舵を取れるような状態にしていかなければならないと思います。

石橋:他に、日本の企業はどんな点を学ぶべきでしょうか。

橋本:ひとつはキャッシュのリソース・アロケーションですね。事業部に“貼り付いている”キャッシュをコーポレートの管理下に置き、グローバルベースでマネジメントするのが一番だと思います。

石橋:それをリードするのはファイナンス部門ですか。

橋本:そうですね。キャッシュの効率性を強調すれば、財務主導でできるはずです。事業部からすれば懐に手を突っ込まれるような感じで抵抗はあると思います。それでも、「こっちの事業部ではお金が余っているのに、こっちでは借りている」なんていう無駄なことは止めましょう、バラバラで持っているよりも一括で管理した方が効率はいいでしょう、ということは比較的理解されやすいのではないでしょうか。

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この記事の著者

石橋 善一郎(イシバシ ゼンイチロウ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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