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移動データとモビリティDXの最前線

MaaSが普及する中でモビリティ産業が抱える課題と今後の可能性

第1回

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 様々な業界で進むDXの中でも、“MaaS”や“スマートシティ”など、ヒトやモノの移動データを活用したモビリティ分野への注目は高まっています。今、日本そして国内外の企業は移動データをどのように利活用し、新しいビジネスモデルにチャレンジしているのでしょうか。本連載では、株式会社スマートドライブと共にモビリティDXの最前線を探ります。  第1回は、株式会社スマートドライブ 代表取締役の北川 烈氏が、世界と日本のモビリティ産業の現状を紹介しつつ、MaaSが普及する中でモビリティ産業が勝ち残るためにはどうすればいいかを考察していきます。

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モビリティ産業の現状と課題

 昨今、MaaSやCASEという言葉が、これまでの自動車産業とは少し遠い立ち位置の方々からも聞こえてくるようになりました。

 2013年からモビリティデータの活用ビジネスを行っている我々の目から見ても、ここ数年は特に世の中の関心が高まっていると感じています。特にこの2年ほどは、モビリティ産業の企業が積極的にオープンイノベーションに取り組み、自前主義や系列主義を超えて、他社やスタートアップ企業との協業を進めているのが印象的です。

 こういったオープンイノベーションの活用、スタートアップ企業とのコラボレーションはモビリティ産業に限らず、様々な業種で起きていますが、モビリティ業界は、“ケイレツ”と呼ばれるほど、自動車メーカーからサプライヤー、保険会社や通信キャリアに至るまで、系列意識の強い業界です。その中でオープンイノベーションへの取り組みが増えていることは、革命的な変化といっても過言ではないかもしれません。

 しかし、革命的な変化というのは、あくまで従来の“ケイレツ”と比較した場合です。米国GoogleやAmazonといった新興企業をみてみると、系列主義とは真逆といえるようなエコシステムを構築しています。

 彼らはソフトウェアのプラットフォームを構築し、その上に様々な会社がアプリケーションやサービスを展開し、ソフトウェアを支配した上で社内のOSをはじめとしたハードウェアに進出しつつある。そのエコシステムには系列という概念は希薄であるように感じます。

日本の系列主義と米国のプラットフォームエコシステム

 また、ソフトウェアとハードウェアの融合を高次元で成し遂げている米国テスラ社は、圧倒的に部品点数の少ない電気自動車にフォーカスすることで、系列に頼らずに短期間、ハイスピードで市場に製品を投入することに成功しています。なるべく自社完結させることでスピード感を出し、自動車を動くスマホのようにソフトウェアアップデートで次々とサービスを拡充していく姿は、日本のモビリティ業界にとっても学ぶべきところが多くあるように思います。

 確かに自動車メーカーをはじめとしたモビリティ産業の危機感は高まっており、それがオープンイノベーションやスタートアップ企業との協業の加速につながっています。しかし、上記のようなグローバルの動きの中では、取り組みの規模やスピードはまだ十分ではないように感じています。

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この記事の著者

北川 烈(キタガワ レツ)

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