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「未来のデザイナーは生物学を学べ」が意味すること

IDEO CEO ティム・ブラウン公開対談:後編

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 デザインコンサルティングファームIDEOのCEO、ティム・ブラウン氏が来日。11月18日、慶応大学メディアデザイン研究科の招きで公開対談に臨んだ。聞き手は、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の研究科委員長の稲蔭正彦教授。「デザイン思考」の伝道者が語るイノベーションとデザインの未来とは?今回は後編をお届けする。

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これからのデザイナーは「生物学」を学べ

-循環経済、サステナビリティ、材料のリユースなどの新しい考え方に対して、デザイナーはどう取り組むべきでしょうか?

 考え方としてはシンプルで理にかなっていますが、現実はとても複雑です。たとえば、ヨーロッパでは、各種製品の逆アセンブル(解体後の再利用)設計に関する法律がいろいろあります。今やヨーロッパで車を組み立てる場合、一定の逆アセンブルが要求されます。ただし、解体後の素材のほとんどはリユースではなく、リサイクルされています。鉄やアルミは効率的にリサイクルできますが、プラスチックなど、そうはいかない他のものもあります。多くの場合、材料には戻らず、結局は捨てられてしまいます。循環というよりスパイラル経済なのです。これではまだ、長期的に持続可能なソリューションとは言えません。

 材料の製造方法を根本的に変えない限り、スパイラル経済から循環経済へは移行できないと考えています。究極的なソリューションは、おそらくフロントエンドにあるでしょう。生物資源材料をベースにした産業革命は始まりつつあるのではないでしょうか。いつになるかはわかりませんが、生物ベースの素材を扱うスキルが高まって、自然の循環を使ってすべての材料を文字通り土に還せるような、もっと簡単にリユースしたり、変化させたりできる材料のデザインが可能になるでしょう。

 循環経済を実現するには、この種のブレイクスルーが必要です。18〜19世紀に開発された材料を循環させるのは非常に難易度が高い。こうした材料の扱いに伴うエネルギーの問題もあります。仮にすべての化石燃料廃棄物、すべての使用済み金属をリサイクルできたとしても、そのために投入されるエネルギー量のせいで、循環させることができなくなってしまいます。

 これまでは、デザインやエンジニアリングにとって重要な科学といえば物理や化学でしたが、今後20〜30年で、それはおそらく生物学になるでしょう。だからデザイナーは生物学の理解を深める必要があります。非常に大きなシフトですが、その流れはすでに始まっています。RCAには概念レベルで生物学の応用のしかたを研究しているデザイナーがいますし、MITでもいろいろな研究が行われています。

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