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二項動態のDX

日本企業の屏風のトラDX──戦略と現場の不一致を解消する、ビジネスデザイナーとプロダクトマネージャー

第1回

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 コロナ禍において日本企業のDXが進んでいると言われている。政府や経産省によるいくつかの調査資料では、日本企業のDXの現状の課題が整理されている。本連載では、プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクトマネジメント、大規模インターネットサービスのプロデューサー、アジャイル開発の実践を経て、現在は日本企業のDX支援などに取り組む株式会社レッドジャーニーの代表であり、政府CIO補佐官なども務める筆者が、DX経営の課題、実行体制、人材像や評価などを解説していく。本稿では、現在の日本企業のDXへの取り組み状況と課題を、各種調査をベースに紐解き、核となるDX人材の要件に関して、概要を説明していく。

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DX元年の2020年、日本での取り組み状況

 2020年はコロナ禍の中で、日本のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進捗した年でもあった。政府においてはデジタル庁の設立に向けて動き出しがあり、経済産業省による「DX認定制度」(国が策定した指針を踏まえ、優良な取り組みを行う事業者を、申請に基づいて認定する制度)が開始されている。*1

 また、同じく経産省の管轄の下、選定が行われている「DX銘柄」の発表もあった。これは従来「攻めのIT経営銘柄」と呼ばれていた、企業のデジタル化への取り組みを評価する枠組みであり、2020年からは特にビジネスモデルを抜本的に変革させる取り組みを行う企業を対象に実施されている。*2

 後述する情報処理推進機構(IPA)が発信しているDX推進人材に関する調査資料を見ても、企業における該当人材の重要性は高まっており、その不足をどのように補うかが課題視されている。

 こうした公的な情報による示唆は、筆者の実体験を照らし合わせてみても通じるところを感じる。この1年、金融業、製造業、エネルギー業、小売業と様々な組織のDX推進の支援にあたってきた。各企業の取り組み内容、進捗については当然ながらムラがあるが、どの企業においても新たなビジネス作りへの意欲が高く感じられた。

 また、事業会社だけではなく、システム開発を支援するSIerも自社のDXに向けた取り組みを活発化させている。大手SIer自身が、新たなビジネス作りへと動き出し、そのための人材育成に乗り出している。実際、DX銘柄それに準ずるDX注目企業でも、SIerが数社選定されている。

 こうした動きの中身は、やはりSIer各社によって異なるところだが、従来のSIだけでなく事業開発、人材開発へと取り組む姿勢が多くの企業に存在するのは、その昔SIerに身を置いていた筆者からすると隔世の感がある。

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“屏風のトラDX”という戦略と現場活動の不一致

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この記事の著者

市谷 聡啓(イチタニ トシヒロ)

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