アドビ株式会社 代表取締役社長 ジェームズ・マクリディ氏(James McCready)
米国マサチューセッツ州ベントリー大学にて経営学の理学士号を取得。1991年から97年はプロ野球選手としてNYメッツにピッチャーとして在籍。その後、20年以上にわたりEMC(現 Dell EMC)で米国とアジアにおけるエンタープライズセールスとマネジメントの職務に務め、2012年から16年の4年間、EMC JapanのCOOとして東京に在住。2018年4月から現職。
コロナ禍の2020年度に過去最高収益を達成
アドビの発表によると、2020年度第4四半期の収益は過去最高の34億2,000万ドル(前年同期比14%増)、2020年度通年の収益も過去最高の128億7,000万ドル(前年比15%増)であった。
コロナ禍でも好調な理由について、マクリディ氏は同社がデジタル・カンパニーであるという点を挙げた。仕事をオンラインに移行するのが比較的容易であったことに加え、他社のデジタル化をサポートするという同社のビジネスにとって、この状況がむしろチャンスだったのだ。
チャンスに恵まれたといっても、それまでの積み重ねなしには、前年比15%の増収という大きな飛躍を遂げることはできなかっただろう。
マクリディ氏は「ほとんどの企業は追い風のあるビジネスが1つあればラッキーだが、我々には3つある」と語っている。
1980年代にプリンタ向けのソフトウェアでビジネスを始めた同社は、その後「Illustrator」や「Photoshop」など、クリエイターの仕事に欠かせないソフトウェアを世の中に提供するようになる。今では「デジタルエクスペリエンスで世界を変える」という理念のもと、「Creative Cloud」「Experience Cloud」「Document Cloud」という3つの柱でソリューションを展開し、コンテンツ制作だけでなくデジタルマーケティング、デジタル文書や電子サインによるデジタルワークフローなど、ビジネスの領域を大きく広げているのだ。
そういった拡大が成功した要因として、戦略に沿ったM&Aのほか、サブスクリプション型のビジネスへの移行、従業員体験(EX:Employee Experience)を重視する経営のあり方が大きそうだが、この3つに共通することとは何であろうか。