先日、厚生労働省より新型コロナウイルスワクチンの接種体制に関する発表がされたことに伴い、現在全国の各自治体において接種の準備が進められている。この準備において、電話がつながりにくく接種予約が取りづらい、予約や問合せに対応するコールセンターでのリソース不足、といったように、接種開始までの体制構築や接種実施方法の策定の中で様々な課題が考えられる。
そのような背景を受け、LINEでは住民からのワクチン接種予約を、コミュニケーションアプリ「LINE」で完結できるようシステムを提供していく。
具体的な仕様は導入自治体および開発会社により異なるが、自治体のLINE公式アカウントを通じ、自治体から通知される接種券の券番号等を入力することで、ワクチン接種の会場や日時等を予約・変更することが可能となる。また、新型コロナウイルスおよびワクチン関連情報へのアクセスや、チャットボットにより、よくある質問への回答も同アカウントから可能となるという。これをコールセンター等と併用して導入することで、住民にとっては普段から使い慣れたスマートフォンのアプリから、24時間、場所を問わず予約やその管理ができるようになる。また、自治体職員にとっては手入力や電話対応の時間が削減できるなど、業務効率化につながることが考えられる。
このLINEを活用した新型コロナワクチン接種予約システムは、現在神奈川県寒川町、和歌山県紀の川市など全国約100の自治体にて既に導入を決定・検討されているという。
LINEでは、コミュニケーションアプリ「LINE」を活用したシステムだけでなく、電話対応についても、LINEのAIソリューション「LINE CLOVA」で支援する。多量の電話対応が発生した際の現場のリソースの逼迫や、住民からも「忙しくて時間内に電話できない」「かけても電話がつながらない」といった事態の発生に備えて、LINE音声応対サービス「LINE AiCall」で電話対応を自動化することができる。これにより24時間受付が可能なうえ、多量の電話にも同時に対応することが可能となるとしている。
加えて、接種日の予約、予約前日リマインド、接種後フォローの3段階の自動化も考えられるのだという。特に接種後フォローにおいては、接種ワクチン別・年代別等のカテゴリごとの対象者に自動で電話をかけることもできる。
また、先述のコミュニケーションアプリ「LINE」を活用したシステムにおいて、各自治体のニーズに合わせ、より職員負担が少なく、住民にとっても便利な予約フローの実現を、AI技術により支援。
たとえば接種券の券番号等を住民が直接手入力するケースにおいては、誤入力の可能性もあり、職員による確認作業の発生が考えられるが、世界最高水準の認識精度の文字認識技術「CLOVA OCR」を活用することで誤入力を防ぎ、職員の負担を軽減。また、住民の操作にかける手間を省くことへもつなげられるという。文字抽出の支援による作業効率化のほかにも、接種券の使用可否を見分けること、予診表へ記入した手書き文字についてもデータ化が可能で、職員の負担軽減に役立てることもできるとしている。
さらに、オンライン本人確認「LINE eKYC」の活用により、接種会場での受付支援も可能に。接種会場に来場する前に本人確認を済ませることで、会場では、接種券をアプリで読み込む等、簡単な確認作業のみで接種受付ができ、本来会場で行う身分証提示による本人確認の手間を簡略化。接種希望者の会場での待ち時間を減らし、対応職員の人数の削減なども可能となり、それにより「密」の状態を防ぐことができると考えられるとしている。