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イノサイトのトップが語るアイデアを形にするプロセス

スコット・D・アンソニー来日講演レポート

 「アイデアを形にするためには正しいアプローチがある」と、コンサルティングファーム・イノサイトで、長年クリステンセン教授の破壊的イノベーション理論を実践しつつ普及につとめてきたスコット・D・アンソニー氏は言う。そのノウハウが詰まった彼の著書『ザ・ファーストマイル イノベーションの不確実性をコントロールする』の出版記念イベントのため、アンソニー氏が来日。イノベーションの起こし方を語った。

[公開日]

[講演者] スコット・D・アンソニー [取材・構成] 宮本 裕人 [編] BizZine編集部

[タグ] ビジネスモデル デザイン思考 クリステンセン イノサイト

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人は嘘を付く:イノベーションの2つの壁

 どんなイノベーションも、最初は頭の中のアイデアから始まる。しかしもちろん、すべてのアイデアが形となって成功するわけではない。ある調査によれば、アイデアが市場に受け入れられる確率は1%以下だという。

 ハーバード大学ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が創設した経営コンサルティングファーム・イノサイトで、Managing Parterを務めるスコット・D・アンソニー氏。彼はアイデアを実際に実行に移すプロセスを、ひとつ目のマイルストーンまでと いう意味を込めて「ファーストマイル」と呼ぶ。

 アイデアが形になるのは「魔法のようにすばらしい瞬間」だと彼は言うが、そこにたどり着くのは簡単ではない。ファーストマイルを乗り超えるには、2つの大きな課題があるからだ。

 ひとつ目の課題は、人は嘘を付くということ。アイデアを実行するには顧客ニーズを確かめることが欠かせないが、人々は決まって嘘を付くという。それは決して悪意を持っているからではなく、将来どのような行動をとるかは彼ら自身にもわからないからだ。「人々が言うことではなく、彼らが実際にとる行動をよく観察しないことには、市場のニーズを確かめることはできないのです」。

 もうひとつの課題は、ビジネスの拡大・展開のスピードをコントロールすること。すべてのアイデアは部分的に正しく、部分的に間違っており、実際にやってみなければわからないことが多く、問題は常に発生するものである。しかし多くのスタートアップはスケールアップを急ぐことで、その都度発生する問題を見逃してしまうという。

どんなアイデアも、紙の上ではすばらしく見えます。しかし計画書はあくまで仮説を書き下したものなので、それと実際のビジネスは別物だということを理解しなければいけません。新しいビジネスを始めるとき、私たちが知っていることは少なく、仮説の割合の方が大きいということを覚えておかなければいけないのです。

 これらの壁を乗り越えてファーストマイルに到達するには、どうすればいいのだろう? 「アイデアを形にするためには正しいアプローチがある」と、アンソニー氏は言う。

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