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事業や技術の社会実装とは

増島弁護士と馬田隆明氏が語る、社会実装とガバナンス──法・規範・市場・アーキテクチャでの規律とは?

ゲスト:森・濱田松本法律事務所 弁護士 増島 雅和氏

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 連載「事業や技術の社会実装とは」は、『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』の著者・馬田 隆明氏(東京大学産学協創推進本部 FoundX ディレクター)をホストに迎え、これからのビジネスパーソンに求められる「社会実装とその方法」を紐解いていく。  初回は森・濱田松本法律事務所の増島 雅和氏に、VUCA時代におけるガバナンスとルールのあり方や、大企業がスタートアップに学ぶべきルールとの対峙の仕方などについて伺った。

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この国を良い状態にして次につなぐため、ルールをあるべき姿に変えていく

──今日は増島先生の活動について、馬田さんの『未来を実装する』と共通する点からお伺いできればと思います。まずは、増島先生の活動をご紹介いただけますか。

増島 雅和氏(森・濱田松本法律事務所 弁護士、以下敬称略):「職業は?」と聞かれたときに一言でお答えするのが難しいんですよね。僕の立場だと「弁護士」だと思う方も多いのですが、それは資格であって職業ではないと思っています。本質的には、“この国をなるべく良い状態にして次につなぐ”ということにコミットして仕事をしています。職業的にはコンサルティングに近いのですが、それを誰に提供するのかは「このコミットメントを実現するためであれば誰にでも」ということになります。

 スタートアップ企業はその時代に本質的に求められているサービスを提供しようとしていますので、これを社会に出すことをお手伝いすることが僕のコミットメントに一番近いです。大企業もこうしたことが大切だと分かっているのだけれども、レガシーが蓄積されていてどうにも単独では舵を切れない。想いが同じであればそれをお手伝いするのは僕のコミットメントの範疇ですので、オープンイノベーションやコーポレートベンチャーキャピタル、スタートアップ企業のM&Aの支援という形で大企業にもサービスを提供します。

 これを進めていくと、どうしても規制の壁にぶつかります。それは、多くの規制が新しいビジネスモデルを想定して設計されていないからです。行政官は法律を公正に執行するのが仕事ですので、いくら規制がおかしいからといっても大岡裁きのようなことはできません。彼らもまたジレンマに陥っているということです。そうするとあるべき仕事を行政がやれるようにすることも僕のコミットメントの範疇ということになりますから、規制をアップデートするための活動も自然と仕事の範囲に入ってきます。

 規制改革推進会議[1]のメンバーにしていただいたり、規制のサンドボックス制度[2]の創設を働きかけたりして、ルールをあるべき姿に変えるためのお手伝いをするというのも、別にスポンサーとなるお客さんがいるわけではないわけですが、コミットメントを果たすという意味で僕のなかでは大切な仕事になります。

 こうしたことが今、少しずつ回りはじめているものの、完全に属人的にやっているものですからスピードに欠けます。今はこの考え方を広め、同じ想いの人を増やすことに注力しているところです。


[1]規制改革推進会議」について(内閣府)

[2]規制のサンドボックス制度(内閣官房 成長戦略会議)

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