ドワンゴの人工知能研究所はAIの梁山泊をめざす

ドワンゴ人工知能研究所 所長 山川宏氏 インタビュー

 2014年11月に発足したドワンゴの社内研究機関「ドワンゴ人工知能研究所」。一般社団法人 人工知能学会 理事の山川宏博士を所長に迎え、汎用型のAI(人工知能)の実現を目指すという。Googleなど先行する米国に対して、国産AIの戦略とは何か?なぜドワンゴがAIなのか?山川所長に聞いた。

[公開日]

[取材・構成] 羽野三千世 [編] BizZine編集部

[タグ] データ・アナリティクス AI・機械学習

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ドワンゴのAIって何?

― ドワンゴに「人工知能研究所」が設立された経緯を教えて下さい。

山川 私自身、富士通の研究所で、人工知能(AI)研究をおこなってきたのですが、近年は、産総研の一杉裕志氏や東大の松尾豊氏と一緒に「全脳アーキテクチャ」という研究をおこなってきました。ドワンゴの川上会長が、その活動に関心を持って、「うちでやってみないか?」ということで、声をかけてもらったという経緯です。

--  川上会長はなぜ、ドワンゴでAIをやろうと?何かビジネス上の理由があったのでしょうか?

山川  川上さんは、今のところAIをすぐにビジネスに活かそうという考えはないようです。AIそのものに、個人的にも関心があったのだと思います。 グーグルなど米IT企業のAI研究が、大規模な投資をして、かつ思いのほか、実現が早まりそうな気運もあり、技術立国日本でも、これまでのAI研究をさらに進め対抗していくことを考えなくてはいけないと思っていたので、川上さんからのオファーを引き受けたというのが経緯です。

 「人を超えるAIは人類最後の発明になる」といえます。AIが人間の脳以上のレベルに到達すれば、あとはAIが発明を行いますからね。米GoogleなどのAI研究が、何年後にその段階に達するのかはわかりませんが、予想以上に、早く実現されるのではないでしょうか。  そうなった時に、日本にも一流のAI研究者がそろっていてほしい。5年、10年のスパンでの人材育成が必要です。次世代のAI研究者を増やすために、メディア発信力が強く、若者にリーチできるドワンゴという会社は大きいと思うのです。ニコ動を見ているような、今の大学生や若い世代が、ドワンゴを通じてAIに関心を持ってくれればと良いと思います。逆に私より上の世代になると、「ドワンゴって何?」という反応ですが(笑)。

--  錚々たるメンバーを揃えられましたが、山川さんがお声かけされたのでしょうか?

山川 客員研究員の東京大学の松尾 豊先生など、元々一緒に研究していたメンバーです。当研究所が日本のAI研究の拠点となり、国産AI研究の方向性を定め、この方向性に賛同してくれる企業や研究者と連携しながら世界で戦う道を模索して行きます。AIの研究をしつつ、国内AI研究の潤滑油となるような活動をしていきたいと考えています。

--  国産のAI研究の方向性とは何でしょうか?米国グーグルなどに対抗できるものなのでしょうか?

山川 人工知能は全般的にアメリカの企業が投資をしていて、率直にいって日本が対抗していくのは難しい。ドワンゴが一社で戦うことはできないわけで、僕がやるべきことは、日本の基礎的な部分を日本の様々な企業や国の補助や研究機関と連携しながら進めていく、その起点というか潤滑油になれれば良いと思っています。

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