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経営変革の「思想」と「実装」

宇田川准教授がライオン松本氏と藤村氏と語る、インサイドアウトの経営変革に不可欠な両利きの支援者とは?

第1回ゲスト:ライオン株式会社 ビジネス開発センター 松本 道夫氏、藤村 昌平氏【前編】

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新規事業と既存事業の両方を支援する組織

宇田川元一氏(埼玉大学経済経営系大学院 准教授、以下敬称略):まずは、松本さんが担当されている「ビジネス開発センター(以降、本部)」についてご説明いただけますか。

松本道夫氏(ライオン株式会社 ビジネス開発センター 本部長兼統括部長、以下敬称略):はい。ライオンは創業から130年ほど経ちますが、ずっとトイレタリーや薬品などの製品を扱うBtoBtoCのモデルでやってきました。昔は「営業のライオン」と言われ、卸流通に関しては「ライオン会」という非常に強い組織があり、製品を発売すれば、卸店さんが全国津々浦々の店頭に置いてくださる。そしてテレビコマーシャルを流せばお客さんが動いてくれる、というビジネスモデルでやってきたわけです。

 ただ、昨今はビジネス環境が大きく変化しています。外資系企業の進出、異業種のプレイヤーも参入し、競争はますます厳しくなっています。チャネルに関しては、ECが拡大しています。そして、メディアではマス広告の効果が減少しSNSなどデジタルメディアの存在感が増し、以前からのやり方では、情報がお客さんに届けにくい環境になっています。

 そんな中で新しい事業をどう創るか、ビジネスモデルをどう変革していくか、試行錯誤しながら体制を作ってきたのがここ4〜5年のことです。

ライオン株式会社ビジネス開発センター体制図図版出典:ライオン株式会社「ライオン統合レポート2021」(p51 2021年5月発行)
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 この体制図は本部の全社における役割を示したものですが、我々は全く新しい組織というわけではなく、もともとは既存事業のブランドの強化に向けて広告宣伝やマーケティングリサーチなどの支援を行う部署でした。

 ただ、先ほど述べたような環境変化の中で、新規事業も支援すべくひとつの本部を作ったのが2020年1月です。藤村が部長を務めている「ビジネスインキュベーション」という部署は、新しい領域で新規事業にチャレンジする「イノベーションラボ」や社内の起業プログラム「NOIL」などで生まれたアイデアとそのオーナーを受け入れています。それを、もともとは既存事業のマーケティング支援をやっていた人たちも加わり、一体となって新規事業開発を行います。その事業がうまく育てば、独立事業体として本部を卒業するという仕組みです。

 既存事業に関しても、本部が従来の事業部とは異なる「提供価値領域」別のバーチャルな組織体に参画し、マーケティングやブランディングの支援をしています。このように新規事業も既存事業もやるというのは、一般的には珍しい組織かと思います。

「提供価値領域」別のバーチャルな組織体図版出典:ライオン株式会社『「Vision2030」について』(ライオンコーポレートページ)
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