「地域」に注目が集まる中、クリエイティビティを核に活性化する
成熟社会において、「ものの充足」よりも「体験や経験などソフトによる充足」に人々の関心が向かうなか、これまで以上にソフトによる経済づくりへ軸足が移っている。
一方で問題なのは、こうしたソフトづくりを担う創造的人材の担い手が地方に少ないという点である。創造的人材とは、企画やデザイン、開発を担うことができる人材だ。いわば、言われたことをこなすのではなく、自らの意思で新しいことを立ち上げ、かたちにできる人々だ。
ソフト中心の地域経済活性化において、都市圏からの創造的人材の流入、および地域における創造的人材の育成がこれまで以上に脚光を浴びそうだ。
例えば、新しい地域活性化の事例として何かと脚光を浴びている徳島県神山町。ここは、アーティスト・イン・レジデンスや移住促進に端を発して、現在は都市部にある企業のサテライトオフィスが集まる場所として注目されている。まさにIターンというかたちで外から創造的人材が集り、地域の活性化に貢献している好例だと言えるが、それだけではない。神山町では、地域のNPOが「神山塾」という地域の活動を担う人材育成の機会を設け、域内での創造的人材の輩出にも入念だ。
本コラムでは、創造性で地域を活性化するために参考になる書籍を紹介しつつ、創造性と地域経済のあり方、そのための方法論、向かうべき指針の一つをそれぞれの書籍の紹介を通じて述べていきたい。