NECは、「エビデンスの強弱が多様かつ断片化された情報を総合評価して、できるだけ速く、正確に判断を下さなければいけない」といった、複雑な意思決定を行う際にみられる脳活動の知見を応用し、すべてのデータの蓄積を待たず、データを取得しながら同時に分析していく技術を開発した。所望の信頼度(もっともらしさ)が得られたタイミングでデータ収集を打ち切り判断するため、認証や検知・分析を高速化することができるという。また、あらかじめ設定した量のデータすべてを取得する場合は、より高精度な判断が可能となるとしている。
このような考え方で判断する逐次確率比検定(Sequential Probability Ratio Test:SPRT)は1940年代に提案されており、製造分野の品質管理で使われてきた。しかし、必要となるデータなどの前提条件が厳しく、幅広い領域に適用することは困難だったという。近年、意思決定時における大脳頭頂葉の神経細胞がこの手法に近い計算をしていることが明らかになったことから、こうした最新の脳神経科学とNECの機械学習の知見を融合することにより、厳しい前提条件を乗り越える革新的なアルゴリズムを考案し、速度と精度を両立する技術を開発した。
NECはこの技術について、NECの生体認証「Bio-IDiom」の中核技術である顔認証AIエンジン「NeoFace」への搭載を目指しているという。また、不正通信などサイバー攻撃の検知・分析の速度・精度の向上をはじめ、時系列データを活用する領域全般への適用を検討するとしている。