ストックマークではDXが進む企業の実態を明らかにすべく、独自の指標を用いて調査を実施。本調査の結果から、DXが進んでいる先進企業は風通しの良い組織風土を持つことがわかったという。
調査結果サマリー
- DX後進企業においても、DXの基礎となるデジタル技術導入に関しては比較的進んでいること
- DX後進企業では、業務効率化に留まらない新たな価値創出に必要な明確な方針の打ち出し、実行の土台となる組織・文化・人材面の整備においては遅れていること
- DXを推進する際の社員のマインドセット(危機感や抵抗感)に課題を抱えていること
- 組織風土的特徴として、DX後進企業においてはDX先進企業に比較して、部門や立場を超えた情報交換や議論の機会が少ない、外部組織や人材からの情報を取り入れる傾向が小さい
などが挙げられた。
現在のような変化の激しい時代に対応するDXの実現には、適したマインドセットを社員が有することが不可欠であり、そのためには、情報の収集先やコミュニケーションの範囲が広い風通しの良い組織風土を持つことが必要である可能性が示唆された、としている。
調査背景
DXとは、最新のデジタル技術を活用することで、事業の在り方やビジネスモデル、組織・文化を変革して新たな価値を生み出し、安定的な収益につなげる取り組みのこと。コロナ禍の一年でリモートワークやオンラインでのコミュニケーションが増えたことから、これまでの価値観を転換させる必要があるニューノーマルと言われる新時代を迎えた。以前より、VUCAな時代に対応するため、「業務改革と生産性の向上」「レガシーシステムからの脱却」「新しい顧客価値の創造」などを目的にDXの必要性が謳われてきたが、この一年で緊急性と必然性が増した。
一方で、多くの企業がDXへの取り組みを始めたが、DX推進部署を設置したものの現場社員に危機感が浸透していない、経営陣がデジタルに強くなく意思決定ができない、縦割り組織の弊害により部門をまたいだ活動の足並みが揃わないなどの理由から取り組みが進まず、停滞している企業が見受けられることも事実。
今回ストックマークでは独自の指標を作成し、DX先進企業とDX後進企業で、社員の意識の違いを産む根底にある組織風土にどのような違いがあるのかを、DX進捗度と組織風土についてのアンケート調査を行い、その相関を分析。
調査概要
- 調査内容:日本の大企業におけるDXの進捗と組織風土の関係の実態調査
- 調査期間:2021年3月31日~2021年4月5日
- 調査方法:マクロミル (Webアンケート調査)
- 有効回答:従業員1000人以上の企業で過去2年以内にDXプロジェクトに専属で携わった人243名
調査項目
- DXが進んでいる組織の風土的特徴を明らかにするため、ストックマーク独自の指標であるDX進捗スコアと組織風土スコアを作成。
- DX進捗スコアは、 DXの中で目指すあるべき姿や実行計画の策定から、実際の業務刷新、組織の在り方自体の再編に関連する施策を、全5カテゴリー25設問を用いてスコア化。組織風土スコアは、変化に強い組織の特徴の一つである風通しの良さについて着目し、全6カテゴリー30設問を用いてスコア化。
- DX進捗スコアをもとに企業を3つのグループ(DX先進群、DX中庸群、DX後進群)に分類し、組織風土スコアと比較することで、DXの進捗度と風通しの良い組織風土との関連について分析を実施した。