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『ナラティブカンパニー』著者の本田氏とSUNDRED留目氏が語る、共創の時代に不可欠な“ナラティブ”

後編

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 100個の新産業の共創を目指すSUNDREDは、5月26日に共創のために必要な知識や対話による気づきを得るためのオンラインイベント「今夜はIndustry-Up」を開催。第1回のゲストとして、『ナラティブカンパニー―企業を変革する「物語」の力』を出版した本田事務所の本田哲也氏が登壇。本書の中で、ナラティブカンパニーの事例としてアマゾン、ソニー、メルカリ、ネットフリックス等と並んでSUNDREDが紹介されたことから、今回のイベントが開催された。本イベントでは、SUNDRED代表の留目真伸氏とともに、企業コミュニケーションにおける新たなキーワードとして注目される「ナラティブ」について議論していった。  ナラティブの実践について具体例を交えて本田氏が解説した前編を踏まえて行った、本田氏と留目氏による対談の様子をお届けする。

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SNSの普及によって共創にナラティブが欠かせなくなった

留目真伸氏(SUNDRED株式会社 代表取締役、以降敬称略)前編の最後にいただいたメッセージに非常に感銘を受けました。大量生産・大量消費だったころから変化して物質的に満たされた時代になり、企業はより高次の目的の実現、課題の解決に立ち向かう必要性からPurposeを設定する動きが活発になっています。これは企業の根本的な立ち位置の確認として不可欠なのですが、それを実践する方法についてはまだ各社が模索している段階なのではないかと感じています。Purposeを実践し社会に展開していくためには、自社だけでなく、取引先とだけでもなく、社内外のあらゆる人を巻き込まなければならなくなっており、まさに「ナラティブ」が重要となってきていますよね。

本田哲也氏(株式会社本田事務所 代表取締役/PRストラテジスト、以下敬称略):まさにその通りです。テクノロジーが発達したことで、社会共創が10年前よりも容易になりました。企業はステークホルダーを巻き込んだ共創を進めるべきなのですが、ここでひと昔前とは異なる点が出てきます。SNSがここまで発達する前は、株主・従業員・取引先・生活者とそれぞれに違ったメッセージを発信しても成立していましたが、SNSの普及によってメッセージがあらゆる層に届くようになりました。そのため、あらゆるステークホルダーが共創に向かうことができるようなナラティブが必要となったのです。

留目:共創に向かう必要があるということは、共創でなければ価値が出せない時代でもあると言えますよね。たとえば、これまでパソコンは多くのパーツを集めてパッケージングした最終製品でしたが、「コンピューティングでユーザーの課題を解決する」「パーソナルコンピューティングの新しい世界を作る」という世界観を最終製品としたときの1つのパーツでもあります。これまでの物質的な充足が求められていた時代においては完成品を提供していたメーカーであっても、インターネットで繋がった全体のソリューションによってより高次の目的の実現が求められる時代においては、自社の提供している製品は全体のソリューションにおける1つのパーツだと認識した上で、多様な関係者との共創を通じて全体をどのように実現するかを考える。そこで必要になるのがナラティブだということですね。

本田:そう思いますね。ナラティブとストーリーの違いを前編で少し説明しましたが、かつては企業のストーリーやブランドストーリーを消費する時代がありましたよね。50歳前後の私たちが子供のころはまさにストーリーに対する憧れが強かったですが、現代の若者は企業のストーリーよりも、自身や周囲のナラティブに重きを置いていますよね。

留目:SNSの普及によって、生活者一人ひとりも社会の構成員であり、自分たちも社会に対して何かをなすことができるという自信が芽生えたということもあるのでしょうね。これまでの生産者と消費者という一方通行な関係が双方向や共創の関係へと変化することで、生活者個々人も世の中に影響を及ぼすことができることを自覚しているように感じます。

本田:そこをうまく成立させているのが、最近注目を集めるようになったD2Cブランドですね。また、SUNDREDもナラティブに人が集まっている好例だと思います。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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