政府が描くスーパーシティとスマートシティの全体像
石野真吾氏(以下、敬称略):まずはスーパーシティとスマートシティの関係について教えてください。
倉谷英和氏(以下、敬称略):スーパーシティは、端的にいえばスマートシティの特別版といえます。その役割は、ショーケースとなる高度な先行事例を創出し、全国におけるスマートシティの展開を促すことです。規制緩和をともなう点で、スマートシティに国家戦略特区を組み合わせたものともいえます。
公表されている要件は以下の通りです。
- 以下の対象分野のうち概ね5分野以上に関わる
- 規制緩和をともなう
- データ連携基盤を整備
対象分野の例
- 移動:自動走行、データ活用による交通量管理・駐車管理、MaaS
- 物流:自動配送、ドローン配達
- 支払い:キャッシュレス
- 行政:パーソナルデータストア、ワンストップ窓口、API ガバメント
- 医療・介護:AI ホスピタル、データ活用、遠隔診療
- 教育:AI 活用、遠隔教育
- エネルギー・水:データ活用によるスマートシステム
- 環境・ゴミ:データ活用によるスマートシステム
- 防災:緊急時の自立エネルギー供給、防災システム
- 防犯・安全:ロボット監視
スマートシティの対象は都市とは限りません。里山里海の豊かな自然と共生した地域づくり「スマートローカル」のような、地域の課題や資源に応じた多様な形があり得ます。とはいえ、地域の資源を活用して課題を解決するという本質はスーパーシティも同じと考えています。
石野:政府としてはどのような未来像を描いているのでしょうか。
倉谷:キーワードは、SDGsやSociety 5.0です。政府はこれらの実現を目指しており、特にスマートシティはこのSociety5.0のショーケースになるべきものと考えています。
政府の基本政策「科学技術・イノベーション基本計画」では、2025年に100程度の都市・地域での実装を目指すという目標を掲げています。テーマは、交通、農林水産業、防災、環境、インフラ、セキュリティ、地域活性化、都市整備、健康、物流など、幅広い分野にわたります。社会とデータをつなげる取り組みを全国に広げるために、各分野の先行事例を「スマートシティガイドブック」にまとめております。