近年、企業の働き方改革や感染症の拡大に伴い、オフィスワーカーの働く場は、従来の「集約」・「対面」・「固定型」の 1点集約型から、「多拠点」・「オンライン活用」・「選択的」を特徴とした自由度や柔軟性の高いものに変化しつつあるという。
変化が進むにつれ、生産性やコミュニケーションの観点で課題が生じており、働くシーンの中でWeb会議システムやチャットなどデジタルツールの果たす役割が重要になっている。一方でオフィスビルを所有するビルオーナーにとっては、建物設備の老朽化に伴う不動産価値の減少に加えて、テレワーク拡大によるオフィス需要の減退への危惧を抱えているという。オフィスビルも働き方の変化に合わせたバリューアップを行うことで競合物件との差別化を図る必要があるとしている。
テナント企業やオフィスワーカー、ビルオーナーそれぞれのニーズや課題に応えるため、オフィスの設備やそこから取得できるデータとデジタルツールを連携させるオフィスDXプラットフォームの開発に着手に4社にて着手。また、本プラットフォームを活用し、新しい働き方に対応したワークプレイスの開発・展開を推進するという。
プラットフォームでのデータ蓄積と活用
オフィスには、ワーカーの位置情報や人流、カレンダーアプリ上のスケジュール情報など、リアル空間とサイバー空間の双方に貴重なデータが多数存在している。しかし現状のオフィスにおいては設備機器とソフトウェアの連携は限定的でそうしたデータを蓄積・活用する仕組みが整っていないのだという。4社にて、これらを連携させて制御するプラットフォームを開発・実装する。リアル空間、サイバー空間双方のデータを連携させることで、テナント企業やオフィスワーカーに対しては業務効率化や省力化をサポートする、ビルオーナーに対しては物件運営をサポートする独自サービスを提供。
プラットフォームを導入したワークプレイスの展開
4社で本プラットフォームの開発を進めると同時に、本プラットフォームを実装し、新しい働き方に対応したワークプレイスの商品開発を推進。このワークプレイスではコミュニケーションの希薄化や報連相の手間など、テレワーク特有の課題にアプローチするアプリケーションで、生産性高く働くことのできる環境を提供することを想定しているという。
プラットフォームの展開とエコシステムの形成
本プラットフォームはヒューリックが保有するオフィスはもとより、あらゆるビルオーナーが所有するオフィスへの導入を進め、より多くのテナント企業やビルオーナーの課題解決に貢献することを目指すとしている。設備機器との接続や独自サービスの拡充によって、可能性が拡大するため、API(Application Programming Interface)をオープン化することで同業種・異業種問わず、あらゆる設備メーカーやサービス会社、アプリケーション開発会社等が参加できるエコシステムの形成を目指すという。
各社の役割・目的
ヒューリック
- 保有物件での実証実験、不動産分野の知見・ノウハウを活かし新たなサービスの企画・開発
- プラットフォーム・アプリケーションの実装を行い、保有物件の競合他社との差別化及び付加価値向上
ABEJA
- 産業を支える人々の働き方から生まれるデータの活用を通じた、先進テクノロジーの社会実装の加速
- AIプラットフォーム事業やテックスタートアップ運営の経験や知見に基づく、イノベーションによる社会変革の先導
伊藤忠商事
- 不動産系ベンチャー企業への投資実績により蓄積した知見の活用
- プラットフォーム展開推進サポート及び新しいワークプレイスの企画・開発
セコム
- アクセスコントロールやカメラ画像など、セキュリティサービスを通じて得られるデータのプラットフォームでの活用
- ビルオーナーやオフィスワーカーに対するプラットフォームと連携した最新の安全・安心サービスの提供
今後の展開
- 8月以降、本プラットフォーム上に実装するアプリケーション及び新たなワークプレイスの開発
- 11月開業予定のヒューリックが開発する中規模フレキシブルオフィス「Bizflex麻布十番 by HULIC」※にて本プラットフォームを導入し、第一弾アプリケーションの実用を開始
- アプリケーションの拡充に向けた実証実験を「Bizflex麻布十番 by HULIC」に設置する「(仮称)Office Tech Lab」にて実施の上、2022年中を目途に追加アプリケーション及びワークプレイスをリリース予定