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「カーボンニュートラル」とは何か

BCG丹羽氏に聞く、カーボンニュートラルが企業に要請する「守り」と「攻め」の経営変革とは?

ゲスト:ボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター&パートナー 丹羽 恵久氏

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 前編に続いて、カーボンニュートラルが企業経営に求める変革をボストン コンサルティング グループの丹羽恵久氏に聞く。前編ではカーボンニュートラルの全体像を俯瞰し、「制度とルール」「意識とスタイル」「技術とプロダクト」の3つの回路が企業に変革を促す構造を確認した。それを踏まえると、企業は「守り」(CO2排出量の要件を充たす)と2つの意味での「攻め」(既存事業の中で競争優位性を作り出す、新規事業の可能性を探索していく)の観点から経営を見直す必要があるというのが、丹羽氏の主張だった。後編では、守りと攻めの経営変革とは具体的にどのようなことを指すのか、詳しく解説してもらった。

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「製品×プロセス」で自社の排出量を把握する

──ここからはカーボンニュートラルが企業に要請するという「守り」と「攻め」の経営変革について、より具体的に伺いたいです。まずは「守り」から。

丹羽 恵久氏(ボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター&パートナー、以下敬称略):「守り」と言っているのは、各企業に割り当てられた排出の要件を充たすことです。そのためにはまず、自社の排出を正しく理解することから始めなければなりません。その上で排出量を下げるというアクションが一義的にはあり、しかしそれでも下げきれない部分はどうしてもあるので、そこは回収・吸収、あるいは相殺するという形で対応する。この順番が王道と言えるのではないかと思います。

 しかし、ファーストステップである「排出量を正しく理解する」ところから、早くもチャレンジがあります。以前であれば「この業種でこの事業規模なら、おそらくはこれくらい排出しているだろう」という概算でも問題がありませんでした。しかし、EUによる厳格化の動きや、製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)、またはその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法である「ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)」の考え方が重視されるようになりました。これらにより「製品×プロセス」で厳密に算出する必要性が出てきています。

 ただし、現実には「製品×プロセス」でいきなりすべてを厳密に算出できる企業などほとんどないと言っていいでしょう。もちろん最終的には厳密に算出しないといけないのですが、できることから始めて、徐々に精緻にしていくといったやり方が現実解になるだろうと思います。

カーボンニュートラルを支える新技術
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出所:ボストン コンサルティング グループ

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守り──削減、回収、相殺で要件を充たす

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