アメリカでは交渉の最前線に法務がいる
日置:法務のどんなところに日米のギャップがありましたか?
児玉:僕が帰ってきて愕然としたのは、交渉の場面に法務が出ていけないことです。「それはビジネス部門がやることだ」という風潮なんですよね。対してアメリカは、初日の名刺交換のときから法務が交渉に臨みます。その後の契約交渉でも、僕が「ネゴシエーター」と呼んでいる役割を法務が担います。日本サイドの各種プロジェクトチームは、営業部門や、資材関係の取引なら調達部門が交渉をします。そうやって契約書のドラフトが作られて、社内稟議のところで初めて法務に回ってくる。これだと絶対勝てないんですよ。交渉が煮詰まった段階でなにか口を挟んでも、誰も聞いてくれませんからね。