2025年に「空飛ぶクルマ」実用化迫る! 大阪万博で搭乗が可能に?
──SkyDriveは“エアモビリティ”というまったく新しい産業で2018年に創業し、2020年には「空飛ぶクルマ」の公開有人飛行に成功されています。現在では空飛ぶクルマの知名度も急上昇し、多くの人の関心を引いていますが、ビジネスを取り巻く環境に変化はありましたか?
福澤 知浩氏(以下、敬称略):そうですね。まず、エアモビリティという領域が勢いづき始めたひとつのスタートポイントが、2018年に当時、菅義偉官房長官の下で開かれた官民協議会だと考えています。その際に初めて、民間と政府の間で空飛ぶクルマの実証および実用化について、話し合いが行われました。そこから、様々な企業がエアモビリティやそれに関連するビジネスに続々と参入するようになり、現在ではいよいよ実用化も間近となって、拡大の機運が一層高まっているという状況です。
──エアモビリティの本格的な実装はまだこれからだと思いますが、既に同業他社や企業ごとの得意領域、差別化などは存在しているのでしょうか?
福澤:同業他社は、海外を中心として既に存在しています。たとえば、アメリカやドイツのような航空産業が盛んな国では、我々よりも先の実証・開発段階に入っているという企業もあり、エアモビリティに関するプロジェクトの数も、海外で400プロジェクト以上に上ります。ただ、日本国内には、SkyDriveと同じようなエアモビリティ企業はまだあまり出てきていない印象です。
有人飛行を成功させている企業が弊社を含めて世界中に数えるほどしかいないので、我々は、業界の中では技術的に進んでいる企業であるといえます。ただ、企業によって手掛ける機体のサイズや使用用途は異なっています。
その中で、我々の得意領域という点では、海外のメーカーと比べてコンパクトな機体を設計することに注力しています。将来、空飛ぶクルマが大量生産されて無数に飛び回るようになると、都市部では大小様々な建物が発着場として利用される見通しなので、重い機体にしてしまうと天井の耐久が低い建物には着陸ができないなど、弊害が生じる恐れがあります。そのため、我々は「地方から都市部まで、どこでも運用が可能な機体」にこだわっています。
──確かに、今の自動車のように将来運用される見通しならば、そのような工夫は必要ですよね。では、肝心の“実用化”は、いつ頃になる見通しなのでしょうか?
福澤:まず、2025年の大阪万博で、一般来場者にも実際に搭乗していただく形で事業を開始したいと考えています。万博の会場と周辺地域間や、会場内の施設間移動に利用していただくという想定です。もちろん、2026、27年と、開発と進化は続いていくので、次第に日本中の人々が利用するようになっていくでしょう。実用化は間近に迫っています。