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世界が注目するイスラエルのスタートアップ事情──協業に向けて日本企業は何を意識すべきか

第7回 ゲスト:駐日イスラエル大使館 経済担当公使兼経済貿易ミッション代表 ダニエル・コルバー氏

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国を挙げて起業家によるイノベーションを促進する

石野真吾氏(以下、敬称略):イスラエルはスタートアップ大国だというイメージが日本で定着しつつあります。多くのスタートアップがあると聞きますが、実際は何社ぐらいあるのでしょうか。

ダニエル・コルバー氏(以下、敬称略):私たちは、スタートアップを「イノベーティブなテクノロジーを持つ企業」と定義しています。その定義で考えると、現在約6,500社のスタートアップが存在しています。

石野:そんなにあるのですね。なぜイスラエルではスタートアップが次々と興っているのでしょうか。

コルバー:イスラエルでスタートアップが生まれやすい要因として、文化的な背景があると思います。イスラエルでは、チャレンジした上での失敗は“悪いこと”ではなく、むしろ“良いこと”だと考えられているため、イスラエル人はリスクを取る傾向があります。何かに挑戦し失敗したとしても、挑戦したことで信用を得ることができ、挑戦自体に感謝されます。日本では失敗を“悪いこと”とみなす傾向にあるため、リスクを取った挑戦は避けられがちですよね。スタートアップには失敗がつきものなので、リスクを取ることが社会によって奨励されているイスラエルは、スタートアップを興す文化的素地があるといえます。

駐日イスラエル大使館 経済担当公使兼経済貿易ミッション代表 Daniel Kolbar氏
駐日イスラエル大使館 経済担当公使兼経済貿易ミッション代表 Daniel Kolbar氏

石野:リスクを取りやすい社会とのことですが、イスラエルでは失敗した人が使えるセーフティネットがあったり、リスクを取ることを奨励したりするような制度があるのでしょうか。

コルバー:イノベーションを促進するために設置された政府機関「イノベーション庁」による取り組みが特徴的です。1965年設置の「Office of the Chief Scientist」を前身とした組織であるイノベーション庁では、起業家からプロジェクトの内容をヒアリングし、それがイスラエル経済に貢献できるぐらい成功すると考えれば、必要資金の50%を上限として助成金を出しています。起業家は、仮にプロジェクトが失敗しても返還を求められることはなく、プロジェクトが成功した場合のみ、支援した助成金と同額を売り上げに応じて少しずつ返還していきます。政府は、企業の経営陣に入りたいわけでも、利子を取りたいわけでも、株式を求めるわけでもありません。ただスタートアップの“種”を見つけ、それを助成するのです。この制度によって、起業家は失敗したとしても経済的に打撃を受けることがなくなり、リスクを取ったイノベーティブな挑戦をしやすくなっているのです。

石野:起業家としてはありがたい仕組みですね。それとは別に政府関連のインキュベーター組織もあるそうなのですが、どのような取り組みをされているのでしょうか。

コルバー:インキュベーター組織は多国籍企業主導で運営されているもので、そこにイノベーション庁が資金提供をしています。この組織によって、スタートアップ企業は事業を加速することができますし、多国籍企業はインキュベーター組織を通じてスタートアップに投資をすることができます。また 、スタートアップと企業間の相互作用を起こして新しい技術をともに生み出すことにもつながっています。

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フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

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