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事業設計をブラッシュアップする──未来から逆算する「シナリオプランニング」

第3回

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「シナリオプランニング」で事業の未来シナリオを作る

 正解が存在しない複雑な問題こそ、未来から逆算する思考が必要になってきます。たとえば脱炭素。菅総理大臣(当時)は、2020年10月に「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。ここで大きなゴールを設定したのです。足元では向こう5年間の集中期間に政策を総動員し、少なくとも100ヵ所の脱炭素先行地域を創出し、重点対策を全国津々浦々で実施することで、この取り組みを全国に伝搬させていくことを計画しています。

 最初に主語の大きな話をしてしまいましたが、要は、未来をイメージするにあたって“なりたい姿”を考え、そこへたどり着くために逆算していく、物事をシンプルに考えることが大切です。このようなアプローチをとることで、現在の事業の延長線上にある部分、延長線上にはなく大きくストレッチをしなければならない部分を顕在化させることができます。

 未来を見据える力を身につけるため、「シナリオプランニング」の考え方を取り入れて事業の未来シナリオを作ることが重要になるのです。

 シナリオプランニングとは、未来に起こりえる未来シナリオを複数描いたうえで、自社がどう対処すればいいのかを導き出す手法です。もちろん確定した未来は存在しないため、シナリオプランニングで定義する変化は不確実となります。

 不確実であるため、可能性のある複数のシナリオプランニングを用意することが必要です。たとえば、新型コロナウイルス感染症という脅威の今後を考えたときに「ワクチンが開発され、接種が進むことで新型コロナウイルスに感染しても死亡リスクが極めて低くなる」という確実性の高い未来があります。その後「新しい生活様式が定着した結果、外出すること自体が少なくなる」のか、それとも「以前と同じように通勤をして会社に行く」のか、あるいは「自宅時間でストレスを抱えた反動で、密にならない環境で過ごすことが当たり前になる」のかは不確実です。また、その他にも細かな変化があるはずです。そのすべての軸でシナリオを考える必要があります。1つの方向だけでなく、様々な面から俯瞰してシナリオをイメージできることが、シナリオプランニングの醍醐味になります。

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この記事の著者

今井 雄大(イマイ ユウダイ)

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