三菱総合研究所は、阪急阪神ホールディングスと共同で、「Region Ring」を用いた都市型MaaSの実証実験を行い、ポイントによるインセンティブを活用した行動拡張効果を確認したと発表した。なお、この実証実験は、2021年4月21日から8月30日まで兵庫県西宮市において阪急阪神沿線居住者に向けて行った。
同社が提唱する「actfulness」の概念では、行動機会の充足により「新発見（New）」「望みの実現（Wish）」「期待以上の価値の実感（Great）」「困りごと解決（Smooth）」の4つの価値が提供される。同分析では、地域経済活性化や個人のウェルビーイング向上への効果が高いと考えられる「新発見（New）」に着目して分析を行い、以下の結果が得られたという。
アプリの利用状況
- アプリを通じて、実証参加者の63.6％が、「新たな店舗訪問につながった」と回答した
- アプリの利用状況を見ると、「アプリの全ての機能を積極的に利用」した実証モニターの割合が多いセグメント（＝お出かけ利用層）と、「ポイントアプリとして積極的に利用」した実証モニターの割合が多いセグメント（＝ポイント利用層）に分かれた
- 「お出かけ利用層」には、40～50代女性および60代以上の女性が、「ポイント利用層」については20～30代のファミリー層の女性が主に該当した
セグメントごとの行動拡張効果
- 「お出かけ利用層」は、おすすめスポット紹介機能を通じて、新たな店舗や施設の認知が向上しやすい傾向が見られた。これにより、ユーザーごとに個別化したスポット紹介など、情報発信機能の強化が有効と考えられる
- 「ポイント利用層」は、ポイント目的で少数の同じ店舗に繰り返し訪問していることや、ポイントをきっかけに新たな店舗や施設を知る傾向が見られた。これにより、訪問した店舗数に応じてポイントを付与するなど、ポイント起点での行動拡張が有効と考えられる
同社は今後、同分析を通じて得られた結果を踏まえ、「actfulness」の実現に向けポイント設計やナッジアプローチに関する実証を重ね、行動拡張ロジックの検証や地域課題解決のための「Region Ring」の展開に生かしていくとしている。
