長期ビジョンと中期経営計画におけるDXの位置づけ
小関貴志氏(以下、敬称略):まずは簡単に自己紹介と会社のご紹介をお願いいたします。
高原徹(以下、敬称略):1990年に積水化学に入社してシステム部門に配属され、工場の生産管理や品質管理を担当していました。その後、事業部門のマーケティングや海外工場のロジスティック、グローバルのサプライチェーンマネジメント、海外工場へのERP導入を経て、2020年よりデジタル変革推進部で間接材購買の改革に取り組んでいます。
積水化学は売上高が約1兆1,500億円、営業利益が約900億円、従業員数が約26,000人で、世界20ヵ国でビジネスを展開している会社です。会社は「住宅」「環境・ライフライン」「高機能プラスチックス」という3つのカンパニーと、それらを支えるコーポレート部門にわかれています。私の所属しているデジタル変革推進部は、このコーポレート部門に所属しています。
小関:既に売上高が1兆円を超え、高い利益もあげていらっしゃいますが、長期的な目標としてはどのようなものを掲げてらっしゃるのでしょうか。
高原:我々は長期ビジョン「Vision 2030」の中で「Innovation for the Earth」を掲げ、2030年に売上高2兆円、営業利益率10%以上と、“業容倍増”を目指しています。その実現に向け、M&Aや設備投資・DX投資、研究開発費に累計2兆円超と、積極的に投資すると発表しています。
小関:「Vision 2030」に向けて2020年から2022年にかけての中期経営計画に取り組まれている真っ最中かと思います。こちらでは現在どのような取り組みを進められているのでしょうか。
高原:現在の中期経営計画「Drive 2022」では、既存事業の成長と変革を目指す「現有事業Drive」、長期的に新たな柱となる事業を仕込む「新事業Drive」、ESG経営の基盤強化を進める「経営基盤Drive」という3つのDriveをグローバルで進めています。
小関:ESG経営は多くの企業にとって重要なテーマであり、広範な取り組みが必要なものでもあります。積水化学グループとしては、どのような優先順位で進めているのでしょうか。
高原:ステークホルダーにとって重要で、かつ積水化学グループとしても重要な課題として、「リスクの軽減・回避」と「将来への投資」を設定しています。前者は、重大インシデント発生による企業価値毀損を防ぐためのガバナンス強化です。後者では、さらに以下の4つにわけて設定しています。
- DX:業務プロセスの見直し、ビジネスモデルの変革
- 環境:気候変動課題への貢献
- 人材:従業員が挑戦できる組織への変革
- 融合:技術、事業機会の社内外融合推進
小関:ありがとうございます。この中でもDXについて詳しくお聞きしていきたいと思います。