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パーソルHD朝比奈ゆり子氏と入山章栄教授が語る、「ミドルアップダウン型組織変革」成功の要因とは?

「Scrum Interaction 2022」レポート

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 DXで多くの企業が苦戦しているのが、人、組織、そしてカルチャーの変革である。部門のメンバーを巻き込めない、経営陣の理解が得られないなど、変革推進を担う者がぶつかる課題はたくさん存在する。そこで、Scrum Inc.は2022年9月22日、組織変革をテーマにしたイベント「Scrum Interaction 2022」を開催した。  本稿では、パーソルホールディングスでグループデジタル変革推進本部 部長を務める朝比奈 ゆり子氏と、早稲田大学ビジネススクールで教授を務める入山 章栄氏が対談した、パネルディスカッションの様子をお届けする。朝比奈氏はパーソルホールディングスにおける組織変革の発起人で、見事にミドルアップタウン型の組織変革を成功させた。なぜ成功したのか? 対談を通じて、その要因が語られる。対談のモデレーターは、Scrum Inc. Japanの佐藤 一司氏が務めた。

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「新設のDX推進部門」に立ちはだかる組織の課題

佐藤 一司氏(以下、敬称略):朝比奈さんは2020年から、パーソルホールディングス(以下、パーソルHD)のグループデジタル変革推進本部で、コーポレートIT部門の組織変革プロジェクトを牽引されてきたのですよね。

朝比奈 ゆり子氏(以下、敬称略):そうですね。それまでは外資系のITベンダーにて、製品開発やマーケティング、経理に携わった後、2014年にパーソルキャリア(旧 インテリジェンス)に入社。アルバイトサービス「an」のIT責任者を経て、2018年にパーソルHDに転籍しました。

 パーソルグループは、派遣会社のパーソルテンプスタッフや、転職情報サイトの「doda(デューダ)」などを筆頭にさまざまな人材サービスを提供しているグループですが、その中でパーソルHDのグループデジタル変革推進本部は、グループ全体で使われているアプリシステム開発や、データマネジメントを支援する部門となっています。

佐藤:組織変革を起こそうと考えたきっかけとは何だったのでしょうか。

朝比奈:2019年以前、他社と同じようにパーソルHDでもDX推進の気風が高まってきていたのですが、弊社では既存の情報システム部門と、新設のDX推進部門がそれぞれで深刻な課題を抱えていたのです。

 既存のシステム部門では、ホールディングスなどの大きな組織にありがちな、1人で複数のプロジェクトを回している業務過多の状態が常態化しており、社内システムの品質面で不安がありました。また、「DXに挑戦しよう」という掛け声で新設されたDX推進部門は、グループ全体の“出島”になりきれず、既存の部門からも理解が得られないという課題を抱えていました。

 こうした状況が長く続き、どちらの部門でも社員が疲弊して次々と退職していきました。

入山 章栄氏(以下、敬称略):DX推進を担う部門を新設したのはよいものの、既存の部門や上層部との意思疎通、目的意識の共有ができていなかったのですね。

朝比奈:おっしゃる通りです。問題が顕在化していた当初、私は他部署にいたのですが、その状況を目の当たりにしてすぐに「なんとか組織の在り方を変えたい」と思うようになりました。これが、組織変革に着手するきっかけです。

【左】入山 章栄氏【中】朝比奈 ゆり子氏【右】佐藤 一司氏
【左】入山 章栄氏【中】朝比奈 ゆり子氏【右】佐藤 一司氏

佐藤:どのように変革を始めていったのでしょうか?

朝比奈:まずは、社内の問題を洗い出すことからです。2021年8月に行ったパーソル総合研究所の調査によれば、IT人材やDX人材が転職によって離れてしまう組織の特徴の1つに、「対社内と対顧客の要素が強過ぎる」ことが挙げられていました。

佐藤:どういうことでしょうか。

朝比奈:たとえばパーソルグループの場合、ホールディングスとグループ会社、そして約80の子会社が使っている共有アプリケーションについて、本社の担当部門がすべての開発の意思決定を行うのは非常に難しいでしょう。また、アプリケーションを担当する上位レイヤーがグループ内に存在せず、開発部門の立場は非常に弱いものでした。

 そしてグループ経営の企業では、ステークホルダーも膨大な数にのぼります。かつ、情報システムやDX推進を担う部門が相手にするのは、社内の従業員です。そのため、自社そのものがユーザー、すなわち顧客のような存在であり、それが彼ら彼女らの立場をさらに弱いものにしていたのだと思います。

 こうした状況が、まさに「対社内」と「対顧客」の要素が強い組織そのものであり、IT人材やDX人材のエンゲージメントや活躍の機会を奪ってしまうのです。

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この記事の著者

中沢 弘子(ナカザワ ヒロコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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