リンクアンドモチベーションは、大手企業で管理職を務める1,000名を対象とした「人的資本に関する意識調査」を公開した。
2022年8月30日に、内閣官房の非財務情報可視化研究会より「人的資本可視化指針」が公表された。指針の中では、人的資本に関する資本市場への情報開示の在り方に焦点が当てられており、企業の対応方針が整理されている。今後、有価証券報告書における情報開示の義務化なども含めて、より一層企業の人的資本への対応が加速することが予想されるという。
リンクアンドモチベーションは、前回実施した機関投資家の非財務資本開示に関する意識調査に続き、国内の大手企業の管理職1,000名を対象とした企業内の意識調査を実施した。
調査結果サマリー
- 企業の持続的成長に向けて、大手企業の管理職の過半数が「人的資本」を重視
- 人的資本に関して必要だと感じる取り組み1位は「人材活用の最適化」で、2位は「従業員エンゲージメント」
- 非財務資本への取り組みにおける満足度として「非常に満足」「満足」を選択した割合は、人事系部門以外の管理職が29%、人事系部門の管理職では50%以上と現場と人事の認識ギャップが存在
- 「従業員エンゲージメント」を知っている管理職の割合は46%、このうち課題を感じているのは83%と非常に高い割合を占める
- 自社の「従業員エンゲージメント」向上に向けた課題の1位は「将来的な安心感の醸成」。年代別で見ると30代の1位は「理念や戦略への共感の醸成」、40代・50代の1位は「将来的な安心感の醸成」
調査結果
企業の持続的な成長に向けて、大手企業の管理職の過半数が「人的資本」を重視(図1)
企業の持続的成長に最も重要だと思う非財務資本について質問したところ、1位「人的資本(51.3%)」が他項目に対して差をつけていた。続いて、「製造資本(15.3%)」「知的資本(14.6%)」「社会・関係資本(14.3%)」と並ぶ結果に。
Q. 近年、気候変動対策や人への投資を中心に財務諸表に載らない非財務資本への注目が高まっています。企業の持続的成長に最も重要だと思う項目を教えてください。
人的資本に関して管理職が必要だと感じる取り組み1位は「人材活用の最適化(57%)」で、2位に「従業員エンゲージメント(56%)」(図2)
自社でさらなる取り組みが必要だと感じる人的資本の項目を複数選択で質問したところ、1位は「人材活用の最適化(57%)」で、2位に「従業員エンゲージメント(56%)」、3位に「人材育成投資(51%)」という結果に。
Q.以下より、お勤めの会社で取り組みが必要だと感じる人的資本の項目を教えてください。(複数選択)
非財務資本への取り組みにおける満足度として、「非常に満足」「満足」の割合は人事系部門以外の管理職で28%。人事系部門の管理職では50%以上が「非常に満足」「満足」を選択(図3)
自社の非財務資本への取り組みに満足しているかを聞いたところ、「非常に満足(4%)」「満足(24%)」で、満足している管理職は人事系部門以外の部署において3割を切る結果となった。一方、同じ設問に対して、人事系部門の管理職に聞いたところ「非常に満足(7%)」「満足(43%)」で、満足している人事系の管理職は全体の5割に至った。
Q. 自社の会社の非財務資本への取り組みに満足していますか。
「従業員エンゲージメント」を知っている管理職の割合は46%。世代別で見ると、30代の認知率は50%、40代の認知率は45%、50代の認知率は40%(図4)
「従業員エンゲージメント」を認知している人のうち、課題を感じているのは83% (図5)
「従業員エンゲージメント」を知っているか聞いたところ「知っている(46%)」「聞いたことはあるが理解していない(35%)」「知らない(18%)」という結果になった。
「知っている」と回答した人を対象に、「従業員エンゲージメント」に感じる課題があるか聞いたところ「はい(83%)」「いいえ(6%)」という結果になった。
Q. 人への投資で注目を集める「従業員エンゲージメント」についてご存知ですか。
Q. 「ご自身とメンバー」や「会社とメンバー」の間の「従業員エンゲージメント」に課題を感じることはありますか。
自社の「従業員エンゲージメント」向上に向けた課題の1位は「将来的な安心感の醸成(44%)」(図6)。
年代別で見ると、30代が感じる課題の1位は「理念や戦略への共感の醸成(46%)」、40代が感じる課題の1位は「将来的な安心感の醸成(53%)」、50代が感じる課題の1位は「将来的な安心感の醸成(36%)」「全社的な連帯感の醸成(36%)」(図6)
従業員エンゲージメント向上に向けた課題について聞いたところ1位に「将来的な安心感の醸成(44%)」、2位は「理念や戦略への共感の醸成(42%)」、3位は「仕事のやりがいや意味の感受(40%)」という結果になった。また、年代別の結果は以下の通り。
Q. 従業員エンゲージメントの向上に向けて、課題に感じるのはどのような内容ですか。(いくつでも)