清水建設は、工場建設向けのエンジニアリング事業の一環として、初期設計段階から運用段階に至るまで、デジタルツインを継続的に活用しながら施設価値の最適化を図る新たなエンジニアリングサービス「Growing Factory」の提案活動を開始した。
近年の工場建設においては、労働力不足や働き方の変化を背景に、生産ラインの自動化・省人化が共通の課題となっている。また、省エネルギー化やカーボンニュートラル対応にも注力する必要があり、こうしたニーズに対応する上では、将来の市場環境の変化も見据えながら、費用対効果を最大化する施設計画を立案することが肝要だという。
同サービスでは、独自開発した生産シミュレーターと3Dプラントモデルの連携システムを利用し、設計段階からバーチャル空間にプラントモデルのデジタルツインを構築。このモデル上で稼働シミュレーションを重ね、各モデルの諸性能を事前検証することで、最適な施設計画を導き出す。
設計段階のエンジニアリングでは、バーチャル空間に建設した複数の工場プランに対して稼働シミュレーションを行い、イニシャルコスト、ランニングコスト、品目別生産能力などを検証した上で、事業予算と整合した最適な工場プランを提案。提案に基づき全体構想を確定させた後、ニーズに応じて工場内の生産・物流ラインの自動化・省人化の検討を行い、シミュレーション結果に基づき製造設備や搬送機器の最適な組み合わせを導出するという。
また、工場稼働後は、稼働データを基に、生産ラインのボトルネックやライン稼働率、構内物流をデジタルツインで可視化し、市場環境の変化も踏まえながら改善策の検討・実践、工場の稼働率向上に継続的に取り組む。カーボンニュートラル対応においても、工場の電力使用データと過去の実績データをデジタルツインで比較検証することで、エネルギーの使用特性を解析し、使用電力の削減を図る。加えて、工場立地に即した創エネルギー設備の導入やグリーン電力の活用も状況に応じて検討し、カーボンニュートラルな工場を実現するとしている。