日本と欧米では、人的資本開示の背景にある課題が異なる
松井:このような経緯があり、欧米の企業ではESGに関する情報開示が非常に充実しているのです。しかし一方で、ワークフォースの観点ではあまり情報開示がされていないケースが多く、開示項目も企業ごとにバラバラになっている傾向があるように思います。
田中:たしかに、私も最近、海外の様々な業種・業界の企業の開示内容を分析しているのですが、欧米では人種や宗教、ジェンダーの平等など、いわゆる“人権”に関する実態は「ここまで書くの?」というくらい豊富に開示しているんですよね。しかし、「人の価値を最大限に発揮して生産性を高める」といった趣旨の話はあまり出てきません。