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次代のための“探索型”AI活用

AIは「ChatGPT」から2回進化する──「3つの機能層」で示すAIの真の実力とは

第2回

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機能でみたAIの「3つの層」

 現在のビジネスシーンにおけるAIの活用は、両利きの経営でいう「知の深化」、つまり既存事業や既存業務などの効率化、改善、生産性向上が中心で、新規事業の創発につながるような新たな知識や価値の発見を目指す「知の探索」では用いられていない傾向があることを前回の記事で触れました。これまで人の目で実施していた検品作業を画像認識AIで代替する、電話オペレーターが担っていた問い合わせ応答をAIチャットボットで代替する、こうした“代替”で言い表せるAIの活用は、まさに既存業務の深化を目指すものです。

 もちろんこうした深化的AI活用も重要な取り組みです。ただ、これまでにない新たな知識や価値を創出することを目的にAIを用いるためには、AIの活用方法をさらに発展させる必要があります。そのためにはまず、AIの機能と可能性を理解する必要があります。AIの機能は大きく次の3つの層にわけて考えることができます。

  1. 収集されたデータから特定の条件や状態、特徴を解析・ 捕捉する「認識」機能
  2. 認識されたデータの特徴を基にシミュレーションを繰り返す「予測シミュレーション」機能
  3. 予測シミュレーションの結果を踏まえて最適なアクションを 導出する「最適プランニング」機能
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 この3つの機能層は、技術構造や進化段階を示すものではなく、どちらかというとAIに対する人の“捉え方”に近い概念です。技術側面、つまり「技術的に何ができるのか」という観点だけでAIを捉えてしまうと、必ずしもビジネスに最適な活用法を見出せるとは限らず、AIを「何のために使うのか」という視点を持つことが大切です。この3機能層は、AI活用の可能性を理解するためのフレームワークだといえます。ここからは、それぞれの機能層について、詳しく解説していきます。

データから対象を捉える「認識」

 AI機能の第1層目は、収集されたデータから特定の条件や状態、特徴を解析・捕捉する「認識」です。画像データから不良品を認識する、手書き文字を認識する、人の声を認識するなどはわかりやすい例で、基本的には「教師データ」と呼ばれるデータをAIに学習させ、それと類似するものや状態を認識・検知・識別するという機能です。

 例に挙げた検品AIやAIチャットボットはこの認識機能の代表格で、学習した内容と異なるものを不良品として判定する、あるいは学習した内容に応じて問い合わせ内容を振り分けるなど、“見た目の判断”にとどまっているのが、この認識機能ともいえます。

 とはいえ、現在人手によって行われている作業の多くは、この認識機能を活用したAIで代替できる可能性があります。医療でのレントゲン画像診断、小売店での顧客行動や不審者行動の検知、バックオフィス業務での文章評価や分類などは、様々なAIソリューションが販売されている分野の1つで、基本的には、学習した内容やルールに基づくYES/NOの判断を通して「異常がある」「不審者がいる」「○○部署に通知する」などの適した答えを出力しています。これだけでもビジネス、特に既存事業においては十分なインパクトを持つ機能だといえます。

 実は、昨今話題を集めている対話生成AI「ChatGPT」もこの認識機能を最大限に活用したAIの1つと捉えることができます。ChatGPTの凄さは大規模なデータに支えられている点にあり、基本的な仕組みとしては、入力された文章の傾向に基づいて、事前に学習(=認識)したデータから対話文として成り立つ可能性が高い単語を出力するというものです。その大規模さは舌を巻くものではありますが、技術的には従来に近い認識機能を拡張したAIだといえます。

AIの第1機能「認識」の仕組み
AIの第1機能「認識」の仕組み
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 今現在でも複数のビジネスインパクトもたらしているAIですが、その多くはこの第1機能の認識の活用にとどまっているのが現状です。AIのさらなる実力を引き出すためには、次の第2機能層以降の活用が鍵になります。

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この記事の著者

椎橋 徹夫(シイハシ テツオ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

和田 崇(ワダ タカシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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