部署やプロジェクトのリーダーになることは、キャリアアップの過程には不可欠なイベントです。しかし、専門的な知識や技術を有する優秀な人であればあるほど、培った能力を最大限に発揮して個人の生産性を上げようとする能力の罠に陥り、真のリーダーになることができていないことが多いそうです。
翔泳社が9月10日(木)に刊行した『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』では、リーダーになるために必要な要素をフランストップクラスのビジネススクール「INSEAD」のハーミニア・イバーラ氏が詳細に解説しています。
本書の要点は一言、「リーダーの条件を考える前に行動しよう」ということに尽きます。
リーダーになろうとする方、リーダーに任命された方の多くが、最初にするのは「理想のリーダーとは何か」とその条件を洗い出し、いまの自分とのギャップを分析し、それを埋めるべく行動を始めるということです。
しかし、イバーラ氏の長年の研究は、その順序を否定し、真逆の過程を重視します。すなわち、リーダーとして行動することが、リーダーとしての考え方を醸成するというのです。それは、考えること=内省は、過去の経験を振り返ってでしか行なえず、リーダーとして行動したこともないのに内省してもリーダーにはなりえない、という根拠にもとづいています。だからこそ、まず行動せよと説くわけです。
そのために重要なのが、社外ネットワークを構築することです。リーダーには、自分がこれまでの業務では遭遇したことのない経験が必要であり、今後のビジネスは社内外の協業によって進んでいくという確固たる見立てがあるからです。目の前の仕事に忙しく、社外の知らない人に会いに行くのは手間も時間もかかるうえ、面倒極まりないかもしれません。しかし、それこそがリーダーとしての仕事の一つです。
こうして外部の環境――「アウトサイト」が変わってくると、自身の内面にも変化が訪れます。優秀なリーダーとは、まず行動して、そのあとから考えるのです。
本書では、アウトサイトやネットワーク構築、リーダーの仕事、そして内省といった事柄が、イバーラ氏のクラスを受講した人たちの個人的なストーリーをふんだんに織り交ぜて解説されていきます。その悩みや困惑は、皆さんにとっても他人事とは思えないのではないでしょうか。
「リーダー」たらねばならないことに悩んでいる方、ぜひ本書をおすすめします。