日立製作所(以下、日立)と日立ハイテクは、日立グループにおけるヘルスケア事業の強化を目的に、2024年4月1日付で日立のヘルスケア事業本部を、会社分割により100%子会社である日立ハイテクに承継することを決定した。
この会社分割により、日立ハイテクで「診断×治療×デジタル」によるヘルスケア事業を推進し、ヘルスケアイ ノベーションを創出していくと述べている。
会社分割の目的
日立は、ヘルスケア分野において、診断、治療、デジタルヘルスケアにかかわる事業を国内外で展開している。診断領域では、検体検査自動化システムを大学病院、大規模検査センターに納入。治療領域では、がんの治療に用いる粒子線治療システムやX線治療システムといった放射線治療システムの他、再生医療で用いる細胞を大量に培養する細胞自動培養装置にかかわる事業を行っているという。また、診断や治療などのヘルスケアデータを活用したデジタルヘルスケア関連事業も行っている。
日立ハイテクは、アナリティカルソリューション、ナノテクノロジーソリューション、バリューチェーンソリューション、コアテクノロジーソリューションの4つの領域で事業を推進している。アナリティカルソリューションは、「分析・自動化技術」とデジタルの融合によりヘルスケア領域に新たな価値を提供しているという。これまでも、血液などの検体を分析し疾病の診断をサポートする体外診断装置、ゲノム医療に貢献するDNAシーケンサー をはじめとした製品ラインアップを揃え、検査の高品質化と高効率化に貢献してきたとしている。また、今後は分子診断事業への参入により「個別化医療」「難病診断の高度化」で人々のQoL向上に貢献することを目指しているという。
日立グループはウェルビーイングの向上を目指しており、ヘルスケア分野はその実現の中心になるという。日立と日立ハイテクは、ヘルスケア事業におけるパーパス“Innovating Healthcare, Embracing the Future”を共有し、ヘルスケア事業をともに推進しているとし。両社には、体外診断装置分野での営業チャネル、分析・自動化技術、顧客・パートナー協創による事業創生など多くの共通点があると述べている。また、日立ハイテクで積み重ねてきた研究開発力やモノづくり力、日立の放射線治療システム事業で培ったグローバルKOL(Key Opinion Leader)との関係や、診断と治療をつなぐデジタルソリューションなどお互いの強みがあるとしている。
このことから、両社の事業を統合することが、ヘルスケア事業の成長を加速するために最適であると判断し、今回の決定に至ったという。今後、「診断×治療×デジタル」戦略を効果的に実行し、高品質・高機能な診断、低侵襲治療、診断・治療の最適化、個別化医療の実現といったヘルスケアイノベーションを創出し、QoLの向上、「がんなどを恐れることのない社会」を目指していくと述べている。
- 会社分割の方式:日立を分割会社とし、日立ハイテクを承継会社とする吸収分割
- 会社分割に伴う新株予約権および新株予約権付社債に関する取扱い:日立が発行した新株予約権の取扱いについて、今回の会社分割による変更はなし。日立は、新株予約権付社債を発行していない
- 会社分割により増減する資本金:今回の会社分割による日立の資本金の増減はなし
- その他:その他の会社分割の詳細については、決定次第お知らせ
分割する部門の事業内容
検体検査自動化システムおよび体外診断装置の設計・製造・販売および保守サービス、粒子線治療システムおよびX線治療システムの設計・製造・販売および保守サービス、再生医療ソリューション(細胞自動培養装置の開発、販売など)、デジタルヘルスケア(臨床検査システム、ゲノム診断支援サービスなど)、病院運営支援ソリューション、産業用X線CT装置の設計・製造・保守サービスおよび撮像サービス、および超伝導技術に関する研究・開発。