デンソーは、2026年3月期の取り組みや中長期の成長戦略をまとめた「統合報告書 2026」を公開した。
本報告書では、2030年に向けた新たな中期経営計画「CORE 2030」を特集し、多様化・複雑化する社会課題に対する同社の提供価値や具体的な成長アプローチを開示している。
2030年中期経営計画「CORE 2030」の概要
デンソーは「モビリティから広がる未来社会を人の可能性で実現する企業」を目指す姿として掲げ、2030年度に向けた財務目標として以下の数値を設定した。
- 売上収益:8.0兆円以上
- 営業利益率:10%以上
- ROE:11%以上
- 投入・株主還元:8兆円以上(2026~2030年度累計)
戦略の骨子として「商品づくりの強化」「モノづくりの革新」「人づくり・パートナー共創」の3つの柱を策定。モビリティ領域の成長(売上規模を現行の約1.5倍となる4兆円へ拡大)を軸としつつ、FA(ファクトリーオートメーション)や農業、半導体といった「拡大貢献領域」の成長を加速させ、2040年度にはモビリティ以外の領域を全社売上の3割まで高めるレジリエンスのある事業構造を目指す。
組織再編と主要事業の進化
急速に変化する市場環境やモビリティの電動化・知能化に対応するため、同社は事業セグメントおよび組織体制を再編した。
- パワトレインシステム事業グループの統合:従来の「パワトレインシステム」と「エレクトリフィケーションシステム」を統合し、内燃・電動の技術を融合させたマルチパスウェイ対応を強化。
- システムコントロールコンポーネント事業グループの新設:モータ、メカトロニクス、センシングの3事業部を集約し、環境・安心価値を支える主要コンポーネントの競争力を向上。
- セミコンダクタ事業グループの独立:半導体事業に一層注力すべく独立組織化を実施し、SiCパワー半導体や車載制御用アナログ半導体の開発・供給体制を強化。
- モビリティエレクトロニクスの再編:ADAS(先進運転支援システム)やHMIシステム製品に特化した体制を整え、2030年度に事故シーンカバー率80%の達成を目指す。
開発プロセスにおけるAI・DXの全面実装
「モノづくりの革新」においては、現場に蓄積された膨大な実践知とAIを掛け合わせたプロセス革新を推進。独自開発の「Knowledge Graph Agent」をはじめとするエージェントAIを設計・開発業務へ適用し、手戻りの削減や圧倒的な開発スピードを実現する「爆速開発」に取り組む。さらに、現場の改善活動を支えるノーコード・ローコードによる「市民開発」の推進や、愛知県西尾市の善明南新工場におけるフィジカルAI実装の実証などを通じて QCD(品質・コスト・納期)のさらなる改善を図る。
【関連記事】
・デンソー、新環境方針「エコビジョン2035」を策定──新技術で社会全体の脱炭素と資源循環を加速へ
・デンソー、CxO制度に「CCVO」「CSEO」を新設──役員・執行幹部の担当変更を発表
・デンソー、2027年3月期1Qは増収減益 車両販売増や円安で通期売上予想を上方修正



