新社長が考えるテルモの「現在」とは
鮫島:はい。医療機器産業と聞くと、長い歴史を想像される方が多いと思うのですが、むしろ私は比較的新しい産業分野だと思っているんです。たしかに、体温計や注射器は19世紀から存在していましたが、人工臓器や人工関節、ペースメーカーなどが製品化されるのは1960年代以降でした。つまり、医療機器産業が急拡大したのは20世紀半ば以降なんですね。
そのため、2000年代ごろまでは市場が成熟の過程にあり、新しい製品を出すことが即ち付加価値に繋がる時代でした。そうした流れのなかに、テルモが国内で初めて開発したディスポーザブル(使い切り)の注射器など、数々のイノベーションがあったという認識です。