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東京ガスがエネルギーからソリューションへ舵を切る理由──巨大な組織を変える、伴走型支援者の存在とは?

ゲスト:東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社 門正之氏、株式会社プレイド 社内起業組織STUDIO ZERO 藤原直彦氏

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外部の支援に依存しつづけない「組織知」の構築と共有

:課題に関してさらに言えば、失敗についてです。担当者の成功や失敗を共有し、次に活かす仕組みが重要です。全員が同じ失敗を繰り返しても意味はありません。個々人の経験から、プロセスや方法論、あるいは「型」を確立し、それを組織内、あるいはグループ内の人に引き継ぐ必要があります。

藤原:私たちもずっと伴走し続けるつもりはありません。ここが門さんと一致した部分です。組織知を獲得していただき、私たちなしでも新しく加わったメンバーにその知を継承できるようになることが、私たちの価値の発揮の仕方として最も重要だと考えています。

:既存事業については、139年の歴史の中で安定したビジネス環境が築かれ、やるべきことが組織として確立されています。しかし、新しい事業領域に取り組む際には、将来の見通しが不確実であることを理解し、柔軟に対応することが求められます。過去の成功や失敗に基づく判断だけでなく、変化に対応できる柔軟な姿勢と、自分がこの会社を作っていくんだ、という意識が重要です。これからは「ルールに従う」だけのアプローチから脱却し、自らの経験と知見を積み重ね、挑戦していくことが求められます。

藤原:STUDIO ZEROでは、我々らしい行動を定義した「零道」を掲げています。

 零道には13の項目があるのですが、その2つ目に「信頼残高」があります。信頼を築くためには、同じ目標を持ち、それを達成することが重要です。また、私自身も東京ガスに在籍していた際にコンサルティング支援を受けたことがあるのですが、その際には自分自身が成長できたという感覚は得られませんでした。私たちSTDUIO ZEROは、クライアントの皆さんに成長を実感してもらいたいと強く思っています。その「信頼残高」があればこそ、困難な状況に直面したときに声をかけてもらえるようになると考えています。

画像提供:株式会社プレイド 社内起業組織STUDIO ZERO「STUDIO ZERO PLAY BOOK 2024」(Speaker Deck、January 18, 2024)より/クリックすると拡大します

吉田:お二人のような 「エフェクチュエーター」と行動を共にすることで、実践的にエフェクチュエーションを学べると改めて感じました。教育に携わる者として、実際に行動している方々を見て、その重要性を実感しています。

新規事業で協力者を増やす「アスキング」の重要性

吉田:エフェクチュエーションには5つの原則があります。その1つである「クレイジーキルトの原則」では、協力者を増やすための問いかけを「アスキング」と呼び、重視しています。プレイドさんが顧客を支援する方法や、門さんが部下を支援する方法は私の研究の観点からはアスキングの良い例だと捉えられます。

エフェクチュエーション5つの原則
※再掲/画像提供:神戸大学大学院 経営学研究科 准教授 吉田満梨氏

 また、上司がすべてを支援するというのは現実的ではないので、アスキングが自らできる人を見極め、その役割を担ってもらうことが必要ですよね。

藤原:たしかに各担当者が門さんにすべてを聞くわけにはいかないので、私たちは各々の困りごとを聞き、新規事業の立ち上げの経験を基に提案をしています。例えば、東京ガスの名前を出して顧客にインタビューをするとお客さまが感じるサービス価値に対してバイアスがかかるのではないか、という意見が出た際にはプレイドの名前でインタビューをしてはどうかと提案しました。何度かそのやり方を試した後は東京ガスの名前で進めることにしましたが、スピーディーに実行することが重要です。

:もちろん、私もすべてのやり方を知っているわけではありません。担当者が最も力をつけるためには、自分で考え、試行錯誤することが重要です。失敗を通じて成長することが最大のポイントです。私の立場としては、大きな方向を決めることが仕事であり、1つのプロジェクトに多くの時間を割くことも難しいです。ディスカッションや相談には応じますが、最終的な答えは担当者自身に見つけてほしい、と伝えています。

吉田:自分の会社と顧客や他社との良好な関係を築くためには、多くの試行錯誤と経験が必要ですよね。成功するための明確な答えが存在しない中で、関係をどう作り出し、支援していくかを考えることが重要です。

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代理店ではなく顧客から直接もらう感謝がモチベーションになる

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この記事の著者

雨宮 進(アメミヤ ススム)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社プレイド

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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