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先進企業は収益成長率が最大60% デジタルコアへの投資がイノベーションを加速──アクセンチュア調査

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 アクセンチュアは、日本を含む世界10ヵ国、19業種にわたるIT部門の経営幹部1,500人への調査結果を分析したレポート「Reinventing with a Digital Core(邦題:デジタルコアによる再創造の推進)」を発表した。

 同レポートでは、企業全体の再創造を支えるテクノロジー能力の構築には、先進的なデジタルコアが重要な役割を果たすことが明らかになった。デジタルコアには、俊敏性とイノベーションを生み出すクラウドを前提としたインフラストラクチャと、それに対応する業務を適切に組み合わせることが肝要だという。また、差別化を図るためのデータとAI、成長を加速させるアプリケーションとプラットフォーム、次世代エクスペリエンスと最適化されたオペレーション、そしてあらゆる領域における高いセキュリティが求められる。

 加えて、技術的負債が増加する要因の1つはAIであることも明らかになった。技術的負債とは、ITシステムを最新の状態に保ち、ビジネスニーズに即応するために要するコストと労力のことであり、長期的なメンテナンス性よりも導入のスピードを優先したことで蓄積されてしまったもの。AIは技術的負債の管理・軽減や新しいシステム設計にも活用できる一方で、経営幹部の41%がアプリケーションやプラットフォームと並び、AIを技術的負債が増加させる要因として挙げている。従来、技術的負債は、主にレガシーコードや古いテクノロジー、文書化の不足から生じていたが、最近ではAIの急速な浸透により新たな技術的負債が増加しているという。一例として、当時いち早く導入されたものの、その後、複雑な問い合わせに対応できなくなったAIチャットボットなどが挙げられる。

 企業全体の再創造を支えるデジタルコアの実現に向けて、アクセンチュアでは次の3点を基本理念として提唱している。企業は、これらの基本理念を同時に推進することにより、収益成長率を60%向上、利益を40%増加させるなど、大きな成果創出が可能になるという。

 同調査によると、これらの機能は企業が今日の市場環境で競争力を保つために必須なものである。今や安定した経済成長や地政学リスクをともなわないグローバル化は期待できる時代ではなく、グローバル規模でのコストを抑えた調達や、低コストな地域での工場操業といった旧来のやり方に頼ることは現実的ではないという。

①業界ニーズに合致した先進的なデジタルコアの構築

 同調査では、企業全体の再創造には、「業界トップレベル」のデジタルコアを具備する必要性が示された。また、1つの能力向上が、他の能力向上につながることも明らかになった。このため、企業はまず自社のデジタルコアの現状を把握し、必要な領域に基づき「No Regret:先手必勝で取り組む領域」を優先すべきである。

②AIオペレーションに向けたシステム再構築を含む、戦略的イノベーションへの投資強化

 企業は、IT予算をシステム運用よりもイノベーション創出に振り分け、主要業績評価指標として、その増加割合を計測すべきである。アクセンチュアの調査では、企業全体の再創造に向けて、少なくとも対前年比6%の増加が必要であることがわかっているという。必要となる追加予算は、クラウドのコスト最適化や、運用プロセスの自動化などの施策によって捻出できるとし、企業はそこで得られた資金をビジネスプロセスの再設計、新製品やサービスの投入、新市場への参入などの活動に投資することが望まれる。既に自社の製品・サービスをまたいだソリューションがあれば、この活動の出発点となり得るという。最終的に企業は、ビジネスプロセスで定義されたワークフローに従ったオペレーションから脱却し、人間とAIの最適な協働環境を生み出すべきである。これには、人間の意思決定とAIによる価値創造の両輪を支えるデジタルコアが必須である。

③計画的かつ自律的な手法により、技術的負債と将来への投資のバランスを確保

 アクセンチュアの分析では、IT予算の約15%は技術的負債の解消に割り当て、安定したIT能力を維持すべきだということがわかった。これは、技術的負債の削減と将来的な投資をバランスよく両立するために適した配分である。常に最新のITを維持するには、ソフトウエア、ハードウエア、サービスの更新、アップグレード、管理が不可欠である。自動化されたバージョン管理システムを活用することで、コード変更にともなうインフラストラクチャのコンフィギュレーション設定の更新もできる。

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