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アイデア選択は「イノベーションの選択」

第16回

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インサイトの探求を無駄にしない「3つの視点」

 アイデア選択の際に重要な多様な視点であるが、具体的にはどのようなものが考えられるだろうか。それぞれ対照的なものが含まれるといい。ここでは例として3つを紹介する。

  1. 有用性:ユーザーが大喜びしそうなもの
  2. 実現性:うまくいきそうなもの>
  3. 革新性:ブレークスルーを起しそうなもの

d.school k-12 lab図2:多様な視点で判断する(引用:d.school k-12 lab)

 デザイン思考が人間中心を原則としていることを考えれば、「有用性」は必須の視点だ。実際に形にしようとした時に、何か障害が考えられるとしても、その障害は一旦脇に置いておこう。自社の能力やリソースではなく「ユーザーにとって価値があるか?」という視点のみで考えるようにする。たとえばこんなイメージだ。「どうやったら形になるかは正直わからない。でも、形になったら絶対にユーザーは大喜びするだろう」

 次の「実現性」は、一定の成果を出せそうかどうかという視点になる。細かな判断基準として、開発期間でもいいし予算でも構わない。「ああ、これはうまくいくだろうな」と感覚的に思えるものであればいい。

 最後の「革新性」は、市場全体をひっくり返すようなブレークスルーが起きるかどうかという視点だ。この視点でアイデアを見たい時は、次のように考えよう。「もし、このアイデアが持つ欠点を無視できて、現実的な制約も一切受けないとしたら・・・?」

 以上のように、ユーザーの視点、現実的な視点、常識から抜け出た視点といった形で、対照的な見方が含まれるアイデアを選んでいこう。なお、異なる視点で物事を見るときのポイントは、どれだけエッジを効かせた視点を持てるかにかかっている。言葉を変えれば「何は大事にして、何を捨てるのか」を意識することだ。

 これにより、解決策のコンセプトが明確になり、曖昧なままでプロセスが進むのを避けることができる。明確さが重要であることを示す例として、曖昧なコンセプトによって新製品投入が失敗したザ コカ・コーラ カンパニー(The Coca-Cola Company)の例を紹介したい。

次のページ
「コカ・コーラ C2」の失敗

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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