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IDOM CaaS Technologyが取り組む人と車のデータ活用による「CaaS」とは

第16回 ゲスト:IDOM CaaS Technology 山畑直樹氏、中津川賢人氏

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テクノロジーを活用した「Car as a Service」

元垣内広毅氏(以下、元垣内):御社は中古車販売店「ガリバー」の展開で知られる、株式会社IDOMからスピンオフする形で誕生しました。まずは立ち上げの経緯や事業内容など、簡単にお聞かせいただけますか。

山畑直樹氏(以下、山畑):ガリバーからスピンオフしたのが2020年です。車を「所有」する時代から「利用」する時代へと移り変わっていく中、金融とテクノロジーを組み合わせて新しいビジネスモデルを創出することで、より多くの人が充実したマイカーライフを享受できるようにしたいという思惑がまずありました。

 当時の中古車市場価格は新車で購入してからわずか3年で価値が半分になるという、極めて非合理なものでした。マイカー所有コストも10年で平均920万円と高額です。私自身もお金がなかった20代の頃、どうすればもっと安く車に乗れるのかと知恵を絞ったことがあり、そこで考えたのが、車両価値として残価の落ち幅の小さい、10~15年目あたりの車体を狙う手法でした。

元垣内:なるほど、要は価値の落ち幅の小さい時期に買って売るということですね。

山畑:そうですね。たとえば車のファイナンス系の会社では、残価を1台ずつ計ることはあまりしていなくて、ざっくり「この車種は3年後も価値が70%残りますよ」という形をとっているケースがほとんどです。テクノロジーを活用して1台ずつ個別に残価を読み解ければ、ユーザーの負担額が下げられるのではないかというのが根本の発想です。

株式会社IDOM CaaS Technology 代表取締役社長 山畑直樹氏
株式会社IDOM CaaS Technology 代表取締役社長 山畑直樹氏

元垣内:御社が金融モデルを基盤とした「CaaS(Car as a Service)」を事業領域に掲げているのも、そうした狙いによるものですね。「クルマ産業から、ドライバー産業へ。」というミッションにはどのような想いが込められているのでしょうか。

山畑:ドライバー産業とは何かというと、車の「保有」に目をむけるのではなく、「利用」を軸としてビジネスを展開するということです。そのためにテクノロジー開発を進めているわけですが、そこでもうひとつポイントになるのが「与信」です。

 従来の自動車ローンでは、たいてい年収や勤務先、過去の滞納状況などから審査しますが、弊社の場合は過去の信用はあまり見ず、お客様の“今後”を信頼していこうという考え方が根底にあります。過去ではなく今の月収、ローンの支払い状況、そして大切なのが、車の“使い方”ですね。まずレンタカーに乗ってもらって、車の乗り方に関するデータを貯めていくと、新車に乗れるようになるというモデルです。

元垣内:つまり、車を大切に使ってくれる真面目な人を対象としているわけですね。

山畑:はい。もっと言えば、サービス側とのチャットのやり取りや通話履歴の文字起こしなどのコミュニケーションデータを収集し、これも信用スコアにつなげるようなこともやっています。こうした運用を通して、今まで車を買えなかった人たちにも、手頃な価格でマイカーが利用できるようになる世界を作ろうとしているんです。

 車の価格は、10年前と比べると、100万円くらい値上がりしていますよね。軽自動車ですら、普通に新車で購入すると200万円前後する時代です。この流れは今後も続くでしょう。一方、こうしたインフレ期では物の価値が上がり、中古車の二次流通価格にも影響しています。以前なら10年落ちで廃車にしていたものが、今では海外の日本車ニーズなども手伝って、ちゃんと価格がつきます。票は、三次流通で価値が残りやすくなっている傾向を利用して、ユーザーが車に乗りやすい状況を作ろうということです。

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「人」と「車」のデータを軸としたビジネスモデル

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この記事の著者

友清 哲(トモキヨ サトシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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