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再現性のあるイノベーション経営の型

企業の垣根を越えたイノベーション創出を仕組み化する──経営者イノベーション・ラウンドテーブル【中編】

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第二のラウンドを振り返って(紺野登)

 このラウンドテーブルでは、驚くほど経営者やリーダーの本音が語られた。日本企業はあるべきイノベーション経営を真摯に模索しているという実感を得た。

 各社、実に多くのイノベーション活動をおこなっている。社内でのアイデア創出活動やスタートアップとの協業、社内起業支援制度、外部加速支援者の活用、一時期流行した出島などの試み。さらには新規事業のメトリクスなども整備した、という例もあった。その背景には新事業が立ち上がっても、その後の伸び代がないという悩みがある。

 同時に、こうしたさまざまな活動が個別的に行われていることも見てとれた。共通の枠組みで全体を把握することも重要だ。また、大きなボトルネックが人材だ。アイデアの発案者の異動によってプロジェクトが頓挫することや、評価する役員やメンバーへのイノベーション教育が望まれる面もあった。イノベーションの成功の鍵は、最新のアイデア創出技法や外部の活用もさることながら、自社の組織能力開発や文化である。

 そうした中で、各社、ステージゲートを整備しシステムでイノベーションを起こそうという流れが全体として感じられた。バラバラに行われているイノベーションへの活動を綜合的に、相互に関係しあう、いわば有機的なシステムで考えていくということだ。これにはやはりISO56000のようなフレームワークは有効と確信した。

 ただし、システムは有機的なものだ。これを「生きたもの」にするには、最初のラウンドテーブルでも議論された、経営者のリーダーシップ、自社・自前主義ではない社会的視点(これまでのオープンイノベーションは自社中心主義的だったとも感じた)、企業としての目的や意図の明確化、そして、どのようなイノベーションを起こしていくのか、といったポリシーの策定などが、諸々の活動や資源を全体としてつなぐ、組織の「賢さ」となるものと思われた。

 そもそもISO56000シリーズで記述されている様々な内容は、個々には、以上のような、これまでのイノベーションに関する企業の様々な試みや経験のうち、反復可能性のあるものを体系化したものである。したがって、ISOを金科玉条とするのでは主客転倒である。個々の内容の詳細にこだわるのでなく、全体をシステムとして相互に関連したものとして把握した上で実践するための枠組みという知見が重要である。

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この記事の著者

雨宮 進(アメミヤ ススム)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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