ガートナージャパン(以下、Gartner)は、「生成AIのハイプ・サイクル:2024年」を公開した。
同社は、2027年までに生成AIソリューションの40%がマルチモーダルになる(テキスト、画像、音声、動画など複数のタイプのデータを一度に処理するようになる)との見解を発表した。これは、2023年の1%から大幅な増加になる。
この生成モデルのマルチモーダル化へのシフトは、人間とAIのインタラクションを強化し、生成AI対応ソリューションを差別化する機会をもたらすという。
「マルチモーダル生成AI」は、生成AIのハイプ・サイクル:2024年において、「オープンソースの大規模言語モデル(LLM)」とともに、早期に採用することで、顕著な競争優位性と市場投入までの期間短縮をもたらす可能性があるテクノロジーとして特定されている。どちらのテクノロジーも、今後5年以内に組織に大きな影響を及ぼす可能性を秘めているという。
さらに、Gartnerが10年以内に主流の採用に達すると予測している生成AIイノベーションの中で、その可能性が最も高い2つのテクノロジーとして挙げているのが、「ドメイン固有の生成AIモデル」と「自律エージェント」。
マルチモーダル生成AI
マルチモーダル生成AIは、通常では実現不可能な新しい機能を実現することで、エンタプライズ・アプリケーションに変革的なインパクトをもたらす。このインパクトは特定の業界やユースケースに限定されるものではなく、AIと人間の間のあらゆる接点への適用が可能だという。
現在、多くのマルチモーダル・モデルは2〜3つのモードに限定されているが、今後数年のうちに、さらに多くのモードが組み込まれるだろうと同社は述べている。
オープンソースのLLM
オープンソースのLLMは、商用アクセスを民主化し、開発者が特定のタスク/ユースケース向けにモデルを最適化できるようにすることで、生成AIの導入から得られる企業価値を加速させるディープラーニングのファウンデーションモデル。
さらに、モデルの改善と価値の向上という共通の目標に取り組んでいる企業、学術機関、およびその他の研究機関の開発者コミュニティにアクセスできるようにするという。
ドメイン固有の生成AIモデル
ドメイン固有の生成AIモデルは、特定の業界、ビジネス機能、またはタスクのニーズに最適化されている。企業内でユースケースの整合性を改善すると同時に、精度・セキュリティ・プライバシーを向上させ、よりコンテキストに沿った回答を提供する。
これにより、汎用モデルの場合ほど高度なプロンプト・エンジニアリングを使用する必要がなくなり、対象を絞ったトレーニングを通じて、ハルシネーションリスクを下げられるという。
自律エージェント
自律エージェントは、人間の介入なしで、定義された目標を達成する複合システム。さまざまなAI技術を利用して、環境におけるパターンを識別し、意思決定を行い、一連のアクションを実行し、アウトプットを生成する。
自律エージェントは、環境を学習し続けることで性能が向上し、より複雑なタスクに対処できるようになる可能性を秘めているという。
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