Wallet Stationが可能にする、お客さまニーズのサービスへの反映
──Payどん、よかど鹿児島の現状についてお聞かせください。
上岡:現在、Payどんの会員登録は約16万人です。Payどんは、会員登録無料でスマホアプリからキャッシュレス決済をご利用いただけます。具体的な支払い方法は2つあり、1つ目が鹿児島銀行に口座をお持ちのお客さまについてはチャージ不要の「銀行口座支払い」、2つ目がアプリにチャージいただいたお金での支払いである「電子マネー支払い」をご利用いただけます。そして、地元に長年根付いた金融機関が提供しているという安心感もあり、初めてのキャッシュレス決済を利用するお客さまに選ばれている点も特徴です。
また、現在の加盟店数は約1万1,000店舗です。加盟店の事業者さまがPayどんを選ぶメリットとしては「決済手数料の安さ」と「スピーディーな入金」の2つが挙げられます。Payどんの決済手数料は1.5%と、競合サービスと比べても低水準です。また、決済後、最短だと翌営業日に入金されるため、資金繰りの改善にも効果があります。導入する店舗に優しい商品設計が多くの事業者さまから厚いご支持を受ける要因となっています。
森:よかど鹿児島は鹿児島県内におけるキャッシュレス利用促進を目的の1つとしてオープンしましたが、オープン当初の2019年には苦戦したというのが正直なところです。当時は現金しか使いたくないという層も根強く、来館者数も伸び悩みました。しかし、2020年のコロナ禍以降、全国的にキャッシュレス決済の普及が進み、鹿児島県でも自治体によるプレミアムポイント事業(Payどんを利用)などを背景にキャッシュレス決済の普及率が急増しました。
こうした中で、よかど鹿児島にも変化の兆しが現れています。オープン当初、Payどんアプリでの決済とクレジットカードでの決済の比率は、クレジットカード決済が倍近くを占めていました。しかし、現在は、Payどんアプリでの決済がクレジットカード決済を上回っています。私としてもPayどんをご利用いただくお客さまがここ数年で一気に増えたと感じています。そのため、当初の目的であった鹿児島県内におけるキャッシュレス決済の利用促進に関しては、一定以上の手応えを感じています。
リリースがゴールではないデジタルプロダクトに必要な拡張性
──Payどんをはじめ、こうしたサービスを築く上でWallet Stationが重要な役割を果たしているわけですね。角野さんはその強みは何だと思われますか。
角野:Wallet Stationは、企業が「自社オリジナルPay」を簡単に始められるプラットフォームです。コード決済やポイント機能等のサービスを実現するにあたって必要な機能を提供しており、既に運用しているアプリに組み込むこともできます。こうしたサービスの充実度が強みの1つですが、その一方でAPIにより提供しているため、導入企業のビジネスに寄り添ったサービス開発を行っている点も特徴です。

近年、自社オリジナルPayのような自社決済サービスを提供する企業は少なくありません。多くの企業が苦労されるのが、こうしたサービスの特徴である「リリースがゴールではなく、エンドユーザーの声をもとにした継続的なアップデートが求められる」という点です。その点では、Wallet Stationの拡張性やワンストップでの機能提供は大きな強みです。実際に、鹿児島銀行さまの事例においても、ユーザーの声を起点にした機能拡張などを実施しており、Wallet Stationの強みを活かした開発を行なうことができました。