調査対象となったのは、日本を代表する通信会社であるKDDI、NTTドコモ、ソフトバンク、そしてMVNO6社。wizpraが独自でNPS(ネットプロモータースコア)調査を行い、次の2点について分析した。
- NPSと収益との関係性の明確化
- NPSを向上させるための要因の特定
調査結果の概要は次のとおり。
■NPS第1位はau
調査対象となった大手通信キャリア(au、ドコモ、ソフトバンク)の中で、最もNPSが高かったのは-19%のauであり、最低は-39%、3社のNPS平均点は−29.6%だった。
・NPSが高い企業ほど契約者「純増数」の年平均成長率が高い:通信業界で重要なKPIとして扱われている「純増数(新規契約数と解約数を反映)」の5年間の年平均成長率を比較したところ、NPSが高い企業ほど成長率が高いという結果になった。つまり、NPSを高めることによって、顧客数を増加させることができ、収益を向上させることができる。
・推奨者の79%は「今後も継続して利用する」と回答:推奨者の継続意向は79%であるのに対し、批判者は20%と約4倍の開きがある。
・推奨者は70%が実際に友人にすすめたことがあると回答:推奨者のうち70%が実際に友人や家族に勧めたことがあると回答したのに対し、批判者はわずか16%とこちらも約4倍の開きがある。
■NPS向上要因は、「料金」「利用店舗」の満足度
NPSを向上させる要因の中では、「料金」と「利用店舗」に対する満足度がNPSに大きな影響を与えていることがわかった。
・推奨度を付けた理由として「料金」に関するものが一番多い:「料金」や「通信可能なエリアの広さ」に関連するコメントが多くみられ、この2つの要素が推奨度に大きな影響を与えていることがわかった。
・推奨度に大きく影響しているのは「利用店舗」に対する満足度:利用店舗に対する満足度が高くなればなるほど、推奨度が上がる傾向がみられた。
■NPS分析から見出された各企業の特色
・au:ポジティブコメント、ネガティブコメント共に利用店舗について言及された割合が他社と比べて多くみられた。店舗スタッフの親身さについては非常に評価されている傾向にあり、一方で店舗の待ち時間に対しては不満を持つ回答者が多かった。
・ドコモ:他社と比べても特に、「通信可能エリア」に関して肯定的なコメントが多くみられた。否定的なコメントの中では「料金」に対する言及が58%となり、多くの回答者が不満を持っていると考えることができる。また、上記に分類されない肯定的なコメントの中で、ブランドに対する「信頼性」や「安心感」をあげる人が多く、一定のファンを保有していることが分かった。
・ソフトバンク:3社の中でも料金に関して肯定的な意見を述べている人が一番多かった。料金においては、企業が用意している割引プラン等よりも、基本料金や通話料に対して満足の声が集まる傾向にあった。また、否定的なコメントの中では通信可能エリアに関するものが多く見られた。
・MVNO各社:料金に関して肯定的なコメントが非常に多く、料金が推奨度に影響を与えるという通信業界の特性上、NPSも-4%と大手3社と比べると高くなった。ネガティブなコメントの中では、通信可能エリアや通信速度に関するコメントの比率が高かった。
なお、NPS(Net Promoter Score)とは、「正味顧客推奨度」や「正味推奨者比率」と訳され、顧客のロイヤルティを数値化した指標である。顧客満足度やその他の指標よりも企業収益性との相関が強いことから、アップルやグーグル、ベライゾンなど欧米を中心に導入が進んでいるという。