デロイトトーマツリスクアドバイザリー(以下、デロイトトーマツ)は、企業の内部監査や内部統制報告制度(J-SOX)の評価における、生成AI導入支援サービスを開始した。
同アプリケーションは、大規模言語モデルに企業のデータベースを接続するRAG技術に、デロイトトーマツの内部監査・J-SOXの知見を取り入れ自社開発したもの。内部監査・J-SOX評価において、生成AIを有効活用できるように調整されているという。
内部監査・J-SOX評価アプリケーションの特徴
アプリケーションは、主に次の3つの技術的特徴がある。なお、入力されるデータは、外部の生成AIモデルの学習に利用されないとしている。
- 内部監査の有効性向上のための技術:RAGによるデロイトトーマツが保有する内部監査手続きの留意点や、不正リスクシナリオの活用
- 生成AIの回答精度向上のための技術:内部監査で扱うドキュメントのさまざまなファイル形式に応じたチャンク分割ロジック、テキストに加えて、画像情報や音声ファイルの読取りも可能なマルチモーダル機能、生成AIが判断根拠とした証憑名・証憑ファイルのページ数の出力機能
- 業務効率化のための技術:内部監査手続書をプロンプトに変換するツール、複数プロンプトを並列に連続実行するバッチ処理機能、生成AIの回答結果を調書に転記するツール
たとえば、企業が証憑ファイルと関連する内部監査手続きを記述したプロンプトをアプリケーションに入力することで、生成AIが証憑を評価し、結果が自動出力されるという。
出力された結果には、生成AIが判断根拠とした証憑ファイル名や証憑ファイルのページ数が記載され、企業は結果の確認を行える。また、出力された結果を、調書に自動転記することも可能なため、内部監査・J-SOX評価業務における調書作成を自動化できるとのことだ。
企業への生成AIおよび内部監査・J-SOX評価アプリケーションの導入支援
まずはJ-SOXや準拠性監査のうち、定型業務について、デロイトトーマツと企業が生成AIの適用範囲を検討。次に、アプリケーションを実際に導入し、効果の検証、評価をもとに、精度向上に向けたアプリケーションの改善を行う。
導入開始後も、生成AIの技術発展を見据え、テーマ監査におけるリスク評価といった内部監査の非定型業務への活用の可能性を検討し、生成AIの利用領域を拡大、業務効率化を進めることが可能だとしている。
また、同社が提供している内部監査・J-SOX評価業務支援サービスと、組み合わせることも可能だという。
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